西武の菊池雄星投手(19)が11日、フリー打撃に登板した。打者相手に昨年5月以来の投球に喜びもひとしお。調整が順調なら、20日の紅白戦でドラフト1位ルーキー大石達也投手(22=早大)と先発対決するプランが浮上した。

 フリー打撃登板後の菊池はご機嫌だった。投球の力強さに、今キャンプ最多2300人が集まった南郷スタジアムからどよめきと拍手がわき起こった。打者相手の投球は、左肩を故障する前の昨年5月以来。「久しぶりで楽しかったです。やっと野球ができた感じ。拍手を受けて、この歓声のために野球をしてるんだなと思いました」。夢中でミットを狙った47球。内容うんぬんではなく、当たり前に野球ができる充実感に、笑みがあふれた。

 大石が投げた後のマウンドで触発された。投球練習しながら横目に見て「ヒットを打たせなくてすごいなと。意識してないつもりでしたが、無意識で力が入っちゃいました」。成長株の浅村には左中間スタンドに1発をたたき込まれた。ドラフト5位の林崎(22=東洋大)とも対戦し、2人に許した安打性は10本。右打者の内角にはカット気味に食い込み「ある程度、抑えることができたし、連続してボールもなかったのでよかった」と胸を張った。

 リリースポイントのバラつきなど修正点はあるが、高校時代を思わせる躍動感あるフォームを取り戻しつつある。荒々しさをまとったボールには、大石とはまた違った魅力がある。故障明けのため、まだブルペンでは球数制限つきだが、実戦復帰に向けて大きな前進。渡辺監督は「思いきって投げていた。投げるのがうれしくてしょうがない感じだったね」と目尻を下げた。無事に投球できたことが、何よりの収穫だった。

 [2011年2月12日8時15分

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