優勝候補と目されたドミニカ共和国が、米国に準決勝で敗れた。最後の1球の判定など、物議を醸す展開もあった。タティス、ゲレロ、J・ソト、マチャド…。スターたちがどんな表情で帰るのかを見てみたかった。いつもはラテンの陽気なスタイルも、さすがに沈黙して静かに帰るのではないか。辛気くさい顔をしているのではないか。
結論、全く違った。スターはスターだった。試合終了から1時間50分後、タティス、ゲレロ、マチャド、ロドリゲス、J・ソト、ウリベらスーパースターたちが一緒にミックスゾーンに出てきた。それもスピーカーで爆音の音楽を流しながら。最初は暗くも見えた表情だが、歩きながらノリノリの洋楽を大声で歌い、警備員に話しかけて「ヘーイ!」と、ポーズをとったりやりたい放題だった。
彼らはミックスゾーンを抜けて、報道陣が詰めかけたメインエントランスへ。取材には応じようとはしなかったが、いかついご一行が練り歩いていた。まるで示し合わせたように、あえて元気な姿を見せつけているようにも思えた。
ちょうど1日前、侍ジャパンはどうだったか。同じ三塁側、同じミックスゾーン。多くが沈痛の面持ちで、でもしっかりと報道陣の取材に丁寧に応じて帰宅の途についた。3ランを被弾した伊藤はホテルからバスに乗り込む際、フードを深くかぶって報道陣の前に現れた。気持ちは痛いほど分かる。敗退直後の現在、SNSでは選手への誹謗(ひぼう)中傷が問題になっているという。日本の選手が敗退直後に歌いながら陽気に帰ったら、間違いなく“炎上”するだろう。
だからこそラテン文化とドミニカ共和国のスター性が衝撃だった。日本なら落ち込み、反省し、責任を背負うことが美徳とされる。もちろんそれも1つ。でもタティス、J・ソト、ゲレロ…彼らスターがそうしたように、明るく堂々と胸を張って帰って良い。これまで考えもしなかった新しい「敗者の作法」を教えてもらった。【小早川宗一郎】

