「3球斬り」で世界一奪還だ。巨人菅野智之投手(27)が21日、3月開幕のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のテーマに「3球勝負」を掲げた。長いイニングを投げ抜いて他投手の負担を軽減すべく、WBCではムダ球なしの速攻勝負を宣言した。先発予定の第2戦オーストラリア戦(3月8日、東京ドーム)に向け、今日22日の練習試合・楽天戦(沖縄セルラー那覇)で今季初実戦に臨む。日本代表メンバーは明日23日からの合宿に備え今日22日、宮崎に集結する。

 日の丸を背負うエースの覚悟が詰まっていた。菅野の今季初実戦となる今日の楽天戦は、巨人はもちろん、侍ジャパンの未来を占う試金石になる。ウエートトレを終えて登板前日の練習を仕上げると、世界一奪還への青写真を描いた。

 菅野 少しでも長いイニングを投げることが、チームのためになる。相手も球数を投げさせようと考えてくると思うので、遊び球はいらないと思います。3球勝負でいきます。

 WBCでは、各ラウンドごとに球数制限が設けられている。投手陣の負担を減らすべく、誘い球などのムダ球を排除し、勇気を持ってストライクゾーンで“斬るか斬られるか”の勝負に挑む-。世界一を目指す、菅野の決意の表れだった。

 「3球勝負」の有効性は歴史が証明する。1次ラウンドでは、第1回と第3回大会からは65球(第2回大会は70球)の球数制限がある。その条件で5回以上を投げた先発投手は06年上原(5回、65球)09年岩隈(5回1/3、69球)13年前田健(5回、56球)だけ。3投手はいずれもアウトの半数以上を「3球以内」で奪い、「3球三振」も上原が3、岩隈が2、前田が3を記録した。

 菅野も偉大なる先人侍に続く。昨季の1イニング平均の球数は15・6球。65球制限なら5回途中降板の計算になるが「3球勝負」を実践できれば5回を投げ切ることは十分可能。オフからストライクゾーンで凡打を奪える新球チェンジアップの習得にも着手。最速155キロの直球が軸の全8球種を思うままに操れれば、日本では前人未到の6回を投げ抜くことも不可能ではない。

 今日の楽天戦から、本番に向けた戦支度を本格化させる。今季初マウンドのテーマ設定を問われても「3球勝負でいこうと思っています」と迷わずに掲げた。今季初登板で確かな手応えをつかんでから、侍メンバーが集まる宮崎にはせ参じる。【浜本卓也】