ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、異例の連戦希望を明かした。

 15日、静岡・熱海での合宿を打ち上げ。冬の砂浜での練習を終えると、寒さの中で言葉がひときわ熱さを帯びた。「新しい挑戦になりますが、チャンスですし、出たい」。話題は今後の試合日程。希望したのは、来年2月24日に米国で計画される興行「Superfly2」出場だった。年末には国内で7度目の防衛戦が控え、近日中に発表見込み。試合間隔は2カ月弱になるが、「挑戦」ととらえた。

 米国での興行は、スーパーフライ級の一線級が会した今年9月の「Superfly」の第2弾になる。井上はその舞台で米国デビューを飾り、6回終了時の相手棄権による圧勝で「モンスター」のすごみを見せつけた。本場ファン、関係者に鮮烈な印象を残したからこそ、「もう1回あそこで戦いたい」。

 本場の興行主も参戦を熱望していたが、問題は日程だった。12年にプロデビューしてから14戦し、試合間隔はデビュー戦から第2戦までの95日が最短。そもそも、世界王者が2カ月で2試合を行うこと自体があまりない。ただ、「期間は短いですけど、問題ない」。減量開始時期など、短期間仕様に合わせていく。年末の試合でもダメージがない勝利が求められるが、「それはモチベーションにもなる」と気概を感じさせた。

 この日、恒例の肉体強化合宿を終えた。4日間で体をいじめ抜き、「試合に向けての気持ちのスイッチが入った」とすがすがしい顔をのぞかせていた。また新たな壁を越えるため、オン状態で突っ走る。【阿部健吾】

 ◆「Superfly」(9月9日、米カリフォルニア州カーソン) スーパーフライ級の強豪が集結。重量級が人気の米国では近年は軽量級への関心が高く、象徴的な興行となった。井上はオファーを受け、いきなりのセミファイナルで登場し、挑戦者の同級7位アントニオ・ニエベス(米国)と対戦。ダウン経験のない相手から5回にダウンを奪い、6回終了時に棄権に追い込んでV6を達成した。他にWBC王者シーサケット、元4階級王者ゴンサレス、元WBC王者クアドラス、元WBA、WBOフライ級王者エストラーダが参戦した。