元WBO世界ミニマム級王者山中竜也(27=真正)が、復帰2戦目でWBCフライ級15位ジョナサン・タコニン(35=フィリピン)を3-0判定で破った。世界ランク入りは確実で、ライトフライ級での世界王座奪取へ、階段を1つ上った。山中の戦績は18勝(6KO)3敗となった。

「めちゃくちゃおもしろくない試合ですみません」。山中がリング上で3度頭を下げた。硬膜下血腫による引退から復帰2戦目。しかも世界王座を奪取した17年8月の福原辰弥戦以来5年ぶりのサウスポー戦。加えて、10回戦で申請したはずの試合がJBCの手違いもあってか、8回戦に短縮されるハプニングもあった。情状酌量? の余地がいくらでもある中、完全に間合いをつかみ、脚を使い、左中心の組み立てで、ジャッジ3人フルマークの完勝を収めた。実直な人柄そのまんま、誠実で労をいとわぬスタイルだった。しかし、納得いかない。

「元々こんなボクシングですし、動けることができたのはホッとしてます。でも、イメージ的にはその上で、強いパンチをタイミング良く打ち込みたい」。次戦に向けた宿題だ。

世界戦へ。山下正人会長(60)は「もう十分、12回は戦えることはわかった。でも、全然焦ってません」。今後のシナリオはまずWBOアジア・パシフィックか、東洋太平洋の地域タイトル戦を経由。ライトフライ級戦線にはWBAスーパー王者の京口紘人、WBC王者の寺地拳四朗がいるが「彼らが階級を上げる可能性もあるし、タイミングを見てね」と挑戦の機会を探っていく方針だ。

山中は婚約していた看護師の足立綾子さん(34)と5月16日に結婚した。結婚後初勝利に、自分を「りゅう君」と呼ぶ「あやこ」に「いつもありがとう」とリング上から感謝の言葉を投げた。大阪・北新地で営む飲食店「おにぎり竜」も臨時休業から、近日再開。世界挑戦の時期を「ボクも全然焦ってません。来年でも、再来年でもいい」と言い「体調管理には年2試合ぐらいがいいですし、でも、決まれば、やるだけです」。謙虚さ、実直さ世界一の元チャンプは着実に階段を上っていく。