元WBC女子世界フライ級王者で、男性となって初めて実戦のリングに上がった真道ゴー(36=グリーンツダ)の対戦相手を務めた石橋克之(35=姫路木下)が判定3-0で勝利した。

「最初は(元女性という)思いもあったが、実際に対峙(たいじ)して1発目に左フックをもらった時に『男や!』と、その考えは吹っ飛んだ。速いし、パンチも今まで対戦した男子選手と変わらずか、それ以上でした。ほんまにパンチはありました」

石橋にとって勇気のいる決断だった。「正直、断ろうと思っていました」。戦績に記録されない準公式試合、そして元世界王者とはいえ、元女性との対戦…。ただ、真道の「子どもたちにリングに上がって戦う姿を見せたい」という思いに共感しオファーを受けた。しかし、ジムに「なんでこんな試合受けるんや」など心ない電話もあった。それでも石橋はプロとして、しっかり仕上げてこの日のリングに上がった。

拳を交えながら時折、笑う場面があった。「真道さんも笑っていたんで。共感したというか、おもしろかった」。ジムの木下貴志会長からは「絶対負けるな」とプレッシャーかけられていた。「最初は勝たなければと思ったけど、試合しながら勝ち負けはどうでもよくなった」と元世界女王との対戦を楽しんだ。

結果的に最終ラウンド、左フックで奪ったダウンで勝利を手にした。「ホッとしました」は本音。それ以上に濃密な、石橋の人生にとっても価値ある3ラウンドだった。【実藤健一】