プロボクシングWBC世界バンタム級2位の那須川天心(27=帝拳)が“吉兆の聖地”でKO復活を目指す。元2階級制覇王者で同級1位ファンフランシスコ・エストラダ(35=メキシコ)との同級挑戦者決定戦(11日、東京・両国国技館)を控えた10日、都内での計量をリミット53・5キロでクリアした。格闘技人生初の再起戦は過去2戦全KOの験の良いリング。強敵相手に「覚悟を見てほしい」と自信は揺るぎなかった。
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計量直後の写真撮影で那須川は約10秒間、エストラダとにらみ合った。「強そうだなと思うし、非常に良い顔している。俺もやってやるよという気持ち」。ベストに仕上げてきた2階級制覇王者と顔を突き合わせて闘志はさらに高まった。
「(試合の)次の日からの生き方が決まる」。計量後“剣が峰”の再起戦を那須川はこう表現した。その上で「怖いところもあるし、ワクワクするところもある。自分が本当に生きているという感情、魂が動いてる瞬間を味わえている」と充実感も漂わせた。
昨年11月に井上拓との同級王座決定戦に判定負け。格闘技キャリアで初黒星を喫した。この5カ月は練習環境もトレーナーも原点に戻して自らを再構築してきた。「いろんな困難や苦難を乗り越えてやるべきことはやった。覚悟を決めた男が強い相手にどんなパフォーマンスができるか見てほしい」。言葉に自信がにじんでいた。
吉兆データもある。両国国技館ではキック時代の18年に1回KO勝利。24年にはボクシング4戦目で世界上位ランカーのロドリゲス(米国)に3回TKO勝ち、2戦とも早い回で圧勝している。前日計量では茶色地にオレンジの模様の入ったウエアを着用。「オレンジが僕の今年の風水開運カラーなので」と明かした。
公開練習で「KOを狙う」と明言した。その決意は揺らいでいない。「そのつもりでいかないと勝てない相手。そういうマインドで戦います」。那須川は“覚悟の拳”で世界への道を再び切り開く決意だ。【首藤正徳】
◆天心と両国 キック時代の18年11月、RISE129大会で両国に初見参。内藤大樹との再戦で1回1分59秒、TKO勝利。左ミドル、左ボディーのキック集中打などの猛攻からの左ストレートでダウンを先制。その後、左ストレートでダウンを追加し、最後は連打でレフェリーストップ勝ち。ボクシング転向4戦目の24年7月、当時の世界4位ジョナサン・ロドリゲス(米国)に3回1分49秒、TKO勝ち。2回終了間際に左ストレートでよろめかせ、3回には左ストレートでダウンを奪取し、TKO撃破となった。
○…エストラダはリミットを200グラム下回る53・3キロで計量をクリアすると、那須川と握手をかわしてにらみ合った。前日会見で「次は3階級制覇をしたい。この試合はどうしても勝たなければならない。準備は整えてきた」と語った言葉通り、腹筋が浮き上がる研ぎ澄まされた肉体が、この一戦にかける決意を物語っていた。

