<プロボクシング:WBC世界女子アトム級タイトルマッチ10回戦>◇3日◇東京・後楽園ホール

 王者小関桃(31=青木)が、日本最多タイとなる13度目の防衛に成功した。挑戦者の同級10位アンゴー・ワンソンチャイジム(17=タイ)に効果的な左ストレートを連発し、序盤から圧倒し続けた。9回、ロープ際に追い込んで連打し、1分43秒、TKO勝ちした。元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高(58=白井・具志堅ジム会長)がマークした世界王座の連続防衛の日本記録に並んだ。

 女王のオーラを漂わせ、小関が挑戦者をロープに追い込んだ。9回、序盤から何度もヒットさせた左ストレート、右ボディーを軸に連打。男子のC級(4回戦)ボクサーとのスパーリングで養ったパワーと回転力のあるラッシュで押し、レフェリーストップによるTKO勝ち。33年前、具志堅が樹立した13度の連続防衛記録に並び「男女ではベルトの価値が違います。ただ5年半かけ、100%のコンディションをつくってきた。防衛できたことを誇りに思います」と喜んだ。

 約3週間前、具志堅会長と電話で話す機会に恵まれた。「応援しているから頑張れ」と激励された。10度目の防衛後から「女具志堅」と呼ばれ「比べられること自体、恐縮する」と言い続けてきた小関は、感謝の気持ちでいっぱいだった。世界を奪取した試合と初防衛戦は白井・具志堅ジム主催の興行だった縁もあり「具志堅会長なくして、ここまでできなかった」と吐露した。

 女子の連続防衛の世界記録はV14。この3年間、東京・三鷹市の老人介護デイサービスで調理師のアルバイトをしながら世界ベルトを死守してきた小関は「目標は次の防衛戦です」と、世界記録を目指す決意を表明した。【藤中栄二】

 ◆小関桃(こせき・もも)1982年(昭57)7月31日、東京・三鷹市生まれ。中1からボクシングを始め、日女体大時代の03年に全日本ライトフライ級王者などアマ20勝(8KO・RSC)2敗。07年5月にプロデビュー。世界挑戦に2度失敗後の08年8月、ウィンユー・パラドンジム(タイ)に2回KO勝ちし王座獲得。161・5センチの左ボクサーファイター。独身。

 ◆具志堅用高の13度防衛メモ

 76年10月、WBA世界ライトフライ級王者グスマン(ドミニカ共和国)に挑戦し、7回KO勝ちして世界王者に。77年1月、リオス(パナマ)に15回判定勝ちで初防衛に成功。以後、78年6月のノンタイトル戦を挟み、80年10月、フローレス(メキシコ)に15回判定勝ちし、13度目の防衛に成功。81年3月、フローレスとの再戦で12回KO負けして王座陥落するまで、約4年5カ月間、世界王座を保持した。