横綱日馬富士の暴行問題で角界が揺れる中、横綱白鵬(32=宮城野)が4連勝とした。千代大龍をもろ差しから盤石の相撲で寄り切った。暴行現場に同席していた事実を認めたが目の前の一番に集中し、40度目の優勝へぶれない姿を見せた。

 土俵での白鵬は完璧だった。立ち合いで190キロの千代大龍に右肩から鋭く当たる。直後に両腕をスッと差し、あっという間にもろ差し。時間をかけ、ゆっくりと、反撃を許さず体勢を乱すことなく寄り切った。「かち上げに力がありますから」と相手を警戒しつつ、万全の形に持っていく。「まあ、ゆっくりタイミングを計って出ました」と文句なしの一番を振り返った。

 心中、穏やかなはずはない。前日14日に日馬富士の貴ノ岩への暴行が発覚。この日朝、福岡・篠栗町の宮城野部屋には「見学・取材 お断り」の張り紙が出た。そんなピリピリムードの中、いつもはきっちり汗をかく朝稽古に姿を見せなかった。場所入りは通常より約20分遅かった。土俵の外はいつもと違った。

 暴行現場への同席について、前日は「場所中なんで…」と言葉を濁した。しかし、この日は違った。集中しにくい状況を尋ねられると「まあ一番、一番をね」と答え、再び同席していた事実を確認されると「ええ」と認めた。それならなおさら思うことがあるのでは、と問われると「まあ…」と表情を曇らせた。

 それでも、土俵では揺るがない。目の前で稀勢の里が貴景勝に金星を許したが、特別な意識はなかったという。「結びで締める。それだけです」と集中力は切れない。騒動の中でもあっさり初日から4連勝。出場3場所連続V、通算40度目の優勝へ。「まあ、まだ始まったばかりです。でも、いい滑り出しだね」。弱さを見せず、ゴールを目指す。【加藤裕一】