西前頭3枚目栃ノ心(30=春日野)が初優勝を飾った。

 後続に2差つけており、勝てば優勝の西前頭9枚目松鳳山戦で、激しいつき合いから左差しの体勢となり、体を預けて寄り切った。13勝1敗。06年夏場所の序ノ口デビューから70場所目。1場所15日制定着の49年夏場所以降では、12年夏場所の西前頭7枚目旭天鵬以来20度目の平幕優勝。優勝インタビューでは「本当に自分でも信じられない。親方、おかみさん、両親、グルジア人のみんな、友だちにありがとうと言いたいです」と、感激の涙をこぼした。

 13年名古屋場所で右膝前十字、内側側副靱帯(じんたい)を断裂。4場所連続休場後の14年夏場所は番付が西幕下55枚目まで落ちた。「入院している時、何度も辞めようと思った」という日々からはい上がった。

 東欧の母国ジョージアにいる母ヌヌさん、父ザザさん、妻ニノさん、そして昨年11月8日に生まれ、まだ直接会っていない長女アナスタシアちゃんに贈る初優勝。「今日の日は人生で忘れられない。相撲界に入って、一番うれしい」。国技館を出ると、大勢のファンにもみくちゃにされた。春日野部屋まで徒歩約10分。胸を張り“男の花道”を歩いて帰った。