大相撲の春巡業は18日、千葉・柏市で初日の興行が行われた。19日も同所で最終日が行われる。

 この日の稽古土俵には、横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が上がった。6場所連続休場から再起を目指す稀勢の里は、今巡業には12日の埼玉・草加市から途中参加。その日は早速、十両佐田の海を相手に10番の三番稽古(同じ相手と何番も取る)を行った。この日は初めて、幕内力士として豊山(24=時津風)を直々に指名。連続10番の三番稽古を行った。

 休場原因でもある左前胸部に不安を抱えるが、全く気にするそぶりはなし。左四つ、右上手の体勢作りはもちろん、まわしにこだわらずに下から突き上げるような押し相撲も含め全勝で圧倒した。

 相手の豊山は、夏場所(5月13日初日、両国国技館)で平幕上位に番付を上げるのが確実。170キロ超の重さと、24歳という若さの勢いがあり、“試運転”の現状では、うってつけの相手と言えそうだ。昨年10月の秋巡業でも連日、若さの勢いで番付を上げた朝乃山(高砂)を指名した経緯がある。稀勢の里なりに、稽古相手の指名には狙いがあると思われるが、本人は「う~ん、そうね…」と考えながら言葉を探す様子だったが「(狙いは)ない」と煙に巻いていた。

 手探りの状態ではあるが、この日の稽古には「久々の幕内との相撲で良かったと思います。(左上半身の)動きも良くなってきたし、やるべきことをしっかり続けていきたい」と満足そうな様子。「朝からしっかり体を作って、また明日に向けてやっていきたい」と前向きに話していた。