日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で大相撲九州場所(11月11日初日・福岡国際センター)の番付編成会議を開き、十両昇進力士3人を決めた。新十両は極芯道(22=錦戸)と友風(23=尾車)で再十両は関脇経験のある豊ノ島(35=時津風)だった。

豊ノ島は幕内だった2年前の16年7月に左アキレス腱(けん)を断裂し、同年11月の九州場所から幕下に陥落し、13場所ぶりの再十両。戦後6番目の年長となる35歳4カ月での関取返り咲きとなった。

豊ノ島はこの日、所用で訪れた都内の時津風部屋で取材対応。秋場所を6勝1敗で終え、既に再十両は確実な状況だった。この日朝、番付編成会議に出席していた師匠の時津風親方(元前頭時津海)から「戻った」と電話で聞き「新十両の14~15年前も、めちゃめちゃうれしかったけど、泣くほどうれしかったかと言えばそうでもない。今回は、いろいろな思いがあったから(新十両の時より)うれしい」と話した。

今年3月の春場所から毎場所「負け越したら引退」と覚悟して臨んでいた。その春場所から6勝、5勝、5勝、6勝と大きな勝ち越しを続け、はい上がってきただけに喜びもひとしお。「プライドもあったけど地位がついてこない情けなさもあった。励ましてくれた周りの人に感謝したいし、ここまで支えてくれた家族に申し訳ないから、どうしても結果がほしかった」と目頭を熱くした。

その家族もこの日、部屋を来訪。報道陣の要請で、スリーショットの写真撮影にも応じた。途中で涙ぐんだ沙帆夫人は「あっという間といえばあっという間、長かったといえば長かった2年でした。関取に戻れると信じていましたが、土俵に上がり続けてくれた豊ノ島のおかげです」と感謝の言葉。長女で6歳の希歩ちゃんは、豊ノ島の「大きくなったら何になるの?」の問いかけに「看護師!」と即答。「何で?」の問いかけには「お父さんの足を治すの」と返すなど、一家だんらんの温かなムードに包まれていた。