全勝街道を走ってきた両横綱が明暗を分けた。休場明けで43度目の優勝を狙う横綱白鵬(34=宮城野)は逸ノ城(34=宮城野)に、いいところなく寄り切られ今場所初黒星を喫した。

昨年夏場所以来となる6回目の優勝を目指す横綱鶴竜(33=井筒)は、初めて結びの一番に臨んだ明生(23=立浪)を寄り切って9戦全勝とし、優勝争いで単独トップに立った。

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白鵬は、もろ差し狙いだったんだろう。それが逸ノ城に固められた左が入らず上手も取れず、逆に逸ノ城に上手を与えてしまった。これで焦った。一方の逸ノ城は、うまく取った。白鵬を横に逃がさないように正対して、さらに攻めが速かった。白鵬からすれば、これまでうまくさばいてきた逸ノ城には、懐に入ってからの相撲さえ取れれば、というのが頭にあったはず。ただ当たりが弱かったこともあるが、それを逸ノ城がさせなかった。

単独トップに立ったのが鶴竜で追うのが白鵬。白鵬がトップなら独走されそうだが、この展開なら追う力士はトップを崩しやすい。優勝争いは面白くなりそうだ。2敗までが優勝ラインだろうから、高安には痛い2敗目だった。正代戦は左も使えなかった。ただ体はそれなりに動いている。優勝争いの興味を最終盤までつないでほしい。(日刊スポーツ評論家・高砂浦五郎=元大関朝潮)