大関貴景勝(24=千賀ノ浦)が、幕内では自身初となる中日での勝ち越しを決めた。2連敗中だった東前頭4枚目北勝富士を引き落とし。小結照ノ富士に土がつき、優勝争いへ単独トップに立った。初場所から通算46勝とし、現在トップで48勝の大関正代と2差となり、年間最多勝も視界にとらえた。2横綱、2大関が休場した異例の場所で“ひとり大関”が賜杯争いを引っ張る。

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貴景勝の集中の糸は切れなかった。立ち合いで北勝富士に突っかけられたが、鋭い出足で押し込みつつ、前みつを狙って頭が下がった相手の動きに合わせるように、右に回り込んで引き落とした。幕内でストレートでの給金直しは初めて。初日から6連勝して初優勝した18年九州場所をしのぐ勢いだが「また明日の相撲に集中して頑張ります」と感情を表さなかった。

結びの緊張感を歓迎する。大関以上では唯一の出場で、看板力士の重圧を1人で背負う立場。4日目から千秋楽まで12日間連続で結びの一番を担うが「やっぱり結びで取れるのはありがたいことですし、しっかり悔いのない相撲を取ろうと、気が引き締まる思いです」ときっぱり語った。

四つ身から土俵際の逆転を見せた3日目の霧馬山戦以外は、内容を伴う白星が続く。幕内後半戦の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)は「相手をよく見て相撲を取っている。落ち着いている」と称賛する。単独トップに立つのは関脇で大関復帰を決めた昨年秋場所の12日目以来。「自分の相撲に集中しているので、そこはあまり何も思わない」と無心の貴景勝が、最高のかたちで後半戦に突入する。【佐藤礼征】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 貴景勝は当たり勝っている。北勝富士は左で(まわしを)取るって気持ちだけじゃ負ける。照ノ富士は(大栄翔を)つかまえようとして、ほどかれて焦った。張り手にいって腰が浮いた。