大相撲の九重親方(元大関千代大海)が18日、電話での代表取材に応じ、新拠点での生活について語った。

九重部屋は15日に東京都墨田区石原から葛飾区奥戸に移転。17日から新たな環境での稽古を始めた。

新しい部屋は3階建てでJR新小岩駅から徒歩圏内にある。墨田区石原で先代九重親方(元横綱千代の富士)が部屋開きを行ったのは93年6月。九重親方は「もう先代の部屋が立派すぎたもんだから、そっくりそのままという感じですよ。似たような部屋をつくりました。限られた土地の中で一生懸命、精いっぱいのものをつくりました」と、20年近く過ごした部屋と似た設計にしたという。

16日の土俵祭りでは、師匠は力士らに「これから新しい九重部屋の歴史が始まるけども、一生懸命番付を上げていって、胸を張ってこの地域に愛される相撲部屋を開いていきましょう」と言葉をかけた。場所は変わっても先代の教えを伝える。「千代の富士道場というような感じでやっている。力士たちにも脈々とその気持ちを受け継いでもらっている。千代魂ですよ」。部屋には第41代横綱千代の山、千代の富士、自身の優勝額3枚を飾っているという。

初場所は場所前に新型コロナウイルスの集団感染が発生した影響で、師匠を含めた全力士が全休した。「非常にショックを受けた場所だった。歯がゆい気持ち」。九重親方も感染し、肺炎などの症状に苦しんだ。「10秒しゃべったら5分くらいせきをする。ひどかった。肺が真っ白になって。(入院中に)おかみの方には病院から電話があって『3日が勝負ですね』と言われて。この3日間、酸素濃度が下がったら危ないと。そこまでいった」。現在、後遺症はないという。

九重部屋の力士にとって春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)は再出発の場所となる。電話取材に応じた部屋頭の前頭千代の国(30)も「やることをやって結果につながればいい」と意気込んだ。師匠は「他のライバルの活躍を見ていてちょっと置いてかれたという気持ちも強いんじゃないか」と奮起を求めた。「うちの部屋は先代から受け継がれて、なにくそという気持ちでけがでも病気でも何でも克服して次のステージにいく」。復帰場所に向けて“千代魂”を発揮することを期待した。