大相撲秋場所限りで現役を引退し、年寄「間垣」を襲名した横綱白鵬(36=宮城野)が1日、東京・両国国技館で行われた引退会見に臨み、思い出の一番に初金星の横綱朝青龍戦と、63連勝を止められた稀勢の里戦の「2つ」を挙げた。

NHKの藤井康生アナウンサーに、20年間の現役生活でどの一番が印象に残っているか問われると、「たくさんありますけど、1つには選べません。2つにしたいと思います」と笑みを浮かべた。藤井アナウンサーに「どうぞ、2つをお願いします」と促され、まず挙げたのは04年九州場所11日目、横綱朝青龍戦での初金星。スピード出世を果たした白鵬にとって、これが唯一の金星だった。

もう1つは10年九州場所2日目の稀勢の里戦。「不世出の横綱」と呼ばれた双葉山の69連勝に挑んでいたが、稀勢の里に阻まれて連勝は「63」で止まった。白鵬は「この2つは挙げたいです」と力強く語った。

会見の終盤には「最も悔しかった取組」を問われ、再び稀勢の里戦を挙げた。「その一番があるからこそ、この63連勝にふさわしい相撲を取らないといけない、恥ずかしくないような相撲を取らないといけないと思って、ここまでこれた」と“ライバル”の存在に感謝していた。

◆白鵬が挙げた思い出の一番

▽初金星 入幕4場所目の04年九州場所で、白鵬は11日目に横綱朝青龍を送り出しで破り、初めての金星を獲得。スピード出世する白鵬にとって唯一の金星は、史上2位、18歳9カ月の若さでの初金星だった。

▽双葉山に届かず 横綱在位4年目の10年九州場所2日目に、東前頭筆頭稀勢の里に敗れ、同年初場所14日目から続いていた連勝は「63」でストップ。「不世出の横綱」と呼ばれた双葉山の69連勝には届かず、取組後の支度部屋で「これが負けか」とつぶやいた。