元高校横綱のホープ、北の若(21=八角)が新十両昇進を果たした。

日本相撲協会は1日、来年初場所(1月9日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、九州場所で東幕下3枚目で5勝2敗の成績だった北の若の新十両昇進を決めた。

オンラインでの会見に臨んだ北の若は「ホッとしたのが一番大きいです。やっと目指してきたところでもあるし、長かった感じがしたのでやっとこれたという感覚です」と語った。

初めて番付に載った19年夏場所から順調に出世を遂げたが幕下上位の壁に阻まれた。昨年11月場所で初めて負け越し、今年も3月、夏場所と3勝4敗ながら連続で負け越した。周囲の期待が大きいからこそ、歯がゆい思いはつのった。

九州場所は自己最高位で迎えた。「最高位ということで気合も入っていた。自分の相撲がどれだけ通用するか楽しみだった。意識はしないようにしていたが、そういう位置になったのはうすうす感じていた。それよりも自分の相撲を取りきることが大事と思っていた」。5勝2敗の好成績で、関取の座をつかんだ。

「入った時と相撲は別人だと自分は思う。師匠と会って、前に出る大事さを口酸っぱく言われた。感謝しかないです」と言う。手足の長い体形的な特徴から。「自分が手を伸ばせばまわしを取れる」と思い込んでいたが、実際は違った。「入った時の小手先の相撲ではここまでこれなかった。前に出る相撲ができたからここまでこれたと思う。深い上手を変化気味に取りにいく相撲で勝っていたが、楽な相撲で勝てなくなった。癖が抜けなくて苦労したが。今のままじゃダメと感じて。悩むことも多くて、親方衆、部屋の関取衆からアドバイスもらって自分の相撲を見つめ直すことできた」と話す。

苦労してつかんだ関取の座。その意味は大きい。「華やかな相撲というか、オッと言わせる相撲はできないが、地味でもいいんで力強い相撲をとっていきたい」。アマ相撲界のエリートが苦労してひと皮むけて、新たなステージに挑む。