日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)の番付編成会議を行い秋場所、東幕下4枚目で5勝2敗と勝ち越した対馬洋(29=境川)が新十両昇進を果たした。

オンラインでの会見に臨んだ対馬洋は「まだ実感がわいていない。ふわふわした感じです。自分が今場所できることはすべてやった。結果だけをドキドキしながら待っていました。師匠の口から昇進したと聞きました。すごくうれしかったです」と喜びを語った。

日大で東日本学生相撲選手権優勝などの実績を残した。しかし4年時に左膝に大けが。16年夏場所で初土俵も、左膝のけがのため全休と異例の事態から大相撲人生がスタートした。

何度も幕下10枚目内で関取昇進のチャンスを得ながら、つかめなかった。今年春場所から4場所連続、幕下ひと桁台でようやく悲願をかなえた。「たくさんの人の支えがあってからこそです。十両の番付を目指して、上がることを目標にやってきました。けがしている時、師匠に背中をずっと押してもらった。気持ちが落ちそうな時に励ましてもらった」と同郷の師匠、境川親方(元小結両国)に感謝した。

境川親方は「けがも多かったが、うまく付き合いながらよく頑張ってきたと思います。運動神経がいい。スピード感がある。最後の最後まであきらめない。けがにつながったこともあるが、それが持ち味だから」と評価する一方で、「これがゴールではない。まだ先を目指してほしい」と激励の言葉を投げた。

対馬洋は「気合を入れて、相撲に向き合っていきたい。これから番付を上げて幕内、三役を目指していきたいです」。

対馬洋は長崎県諫早市出身だが、両親が対馬の生まれという。しこ名は元大関の「対馬洋弥吉」にちなむ。「最初は(元大関が)おじいさんだがひいじいさんとか言っていたが、調べたら違ったんです」と師匠。苦笑いの対馬洋は「大きいと思いました。精神的にも肉体的にも強い力士になりたい」。ひとつの目標に達し、ここから“祖先”を追いかけていく。