大相撲の九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)で5度目のかど番として臨む大関正代(30=時津風)が、稽古場で気の抜けた振る舞いを見せた若い衆を叱責(しっせき)した。26日、所属する時津風部屋での稽古に参加。出稽古に来た平幕の北勝富士(30=八角)や錦木(32=伊勢ノ海)らと相撲を取っている最中にそれは起きた。

土俵周りにいた若い衆2人の様子に我慢ならず、「しゃべるのなら、出て行っていいよ」と退場するよう促した。落ち着きを払った静かな口調ながら、その言葉の威力は絶大。稽古場の雰囲気が一気にピンと張り詰めた。そこからギアが増した。申し合い稽古で錦木、北勝富士を次々と退け5連勝。計12番とって8勝で締めた。

普段は至って温厚。稽古を終えると弟弟子たちと和気あいあいとした雰囲気で談笑している様子が目立つが、真剣勝負の土俵の上では様子が異なる。この日稽古場で見せた立ち振る舞いについて問うと、「(若い衆に注意するのは)たまにですね。なかなかない。今日は本当にいい日に当たりましたね」。少しジョークを飛ばしながらも、真意について尋ねると真剣な表情で言った。

「(しゃべっているのが見えた2人に)これ以上乱されたくないし、できれば視界にいれたくなかった。しゃべるんだったら、見えないところでしゃべってほしいと思ったんで」と淡々と説明した。

約3週間後に迫った九州場所。若い衆の気の抜けた行動により部屋全体の士気が下がることも懸念した。「他の子たちにも影響するし、正直兄弟子に言ってほしかったですね」。稽古終了後には叱った若い衆に自ら話しかけるなど、気配りも忘れなかった。

自身5度目のかど番として臨む中で、今は光明を見いだそうと必死だ。「『これだ!』というのはまだ見つかっていない。探すところから。初日に合わせて良くなるように」。もがきながら、前に進む。【平山連】