大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)は、東十両3枚目の逸ノ城との幕内優勝経験者対決に敗れ、3勝1敗となった。立ち合いから右を差して前に出たが、土俵際で上手投げに転がった。左上手を切られても構わず前に出たが、体が伸びきったところで逆転された。「立ち合いは悪くなかったんですけど、上手が取れないまま前に出て、土俵際まで持っていったんですけど、そこで休んだら負けると思ったので、思い切って出たんですけど…。まわしを取れないまま出る、自分の悪い癖が出ました。体も伸びきっていましたので。そこがダメでしたね」と、唇をかんだ。

期間こそ朝乃山が6場所、逸ノ城は1場所と違うが、ともに新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で謹慎休場を経て、19年春場所以来、4年ぶりの顔合わせだった。幕内での過去2度の対戦も逸ノ城に軍配が上がっていたが、再び苦杯をなめた。「逸ノ城関は自分よりも一回り大きいですし、体重も重たいので。がっぷり組むと大きいので、休ませないで攻めるつもりでしたが…」と、自身よりも48キロ重い、右の相四つの219キロ逸ノ城に、通算3度目の対戦でも勝てなかった。

朝乃山は常々「今年中に三役に戻りたい」と話しており、今場所で再入幕を果たせなかったことも気に留めていなかった。一方で今場所は2場所連続の十両優勝で、来場所は幕内に中位で戻ることを目標に掲げていた。その中で今場所は、幕内優勝経験者が自身と逸ノ城に加え、栃ノ心、徳勝龍と十両に4人。レベルの高い争いが場所前から予想されていた。ともに3連勝で迎えた逸ノ城戦は。序盤戦ながら、早くも十両優勝を占う一番という様相を呈していた。

東白龍の突き放しに苦戦を強いられた前日3日目の取組後、朝乃山は「自分も必死ですし、気持ちで負けないように、絶対に勝つぞという気持ちを持って土俵に上がっています」と力説していた。心身ともに右肩上がりで迎えたが、優勝争いの最大のライバルとの一番に敗れた。先場所逃した全勝優勝もなくなり、自力での優勝は現時点ではなくなった。それでも「今日も思い切って相撲を取ったんですけど、白星は取れなかったので、また明日から切り替えて、自分の相撲を取り切りたいです」と、2場所連続優勝はあきらめていない。5日目から再び連勝街道を歩むつもりだ。