日本相撲協会は12日、幕内優勝1度の東幕下37枚目の徳勝龍(37=木瀬)が現役を引退、年寄「千田川」を襲名することを発表した。7日付で日本相撲協会を退職した元小結闘牙の先代千田川親方(49)と入れ替わる形での襲名となった。関係者によると、今後は木瀬部屋の部屋付き親方として後進の指導に当たるという。13日に師匠の木瀬親方(元前頭肥後ノ海)が同席し、引退会見を行う。

徳勝龍は高知・明徳義塾高-近大から木瀬部屋に入門し、09年初場所の前相撲で初土俵。11年九州場所で新十両、13年名古屋場所での新入幕まで計4年を要するなど、出世は早くはなかった。体格を生かした突き押し相撲が武器で、丈夫な体を維持する地道な努力を続け、番付を上げていった。

33歳だった20年初場所では、幕尻の西前頭17枚目で14勝1敗の好成績を収めて初優勝。幕尻Vは00年春場所の貴闘力以来、史上2度目の快挙で、この場所で同時に獲得した殊勲賞と敢闘賞が最初で最後の三賞受賞ともなった。一気に番付を上げた続く20年春場所の西前頭2枚目が自己最高位。この場所は4勝11敗と大きく負け越したが、横綱鶴竜を破って現役生活を通じて唯一の金星を挙げた。

今年1月の初場所で12年春場所以来、11年ぶりに幕下に陥落。同場所を勝ち越して春場所は十両に戻ったが、夏場所で再び陥落した。最近2場所は2勝5敗、1勝6敗と振るわず、秋場所(東京・両国国技館)は東幕下37枚目に番付を落としていた。初日から自身初となる休場となる中で、引退を決断。生涯戦績は553勝570敗2休(12日時点)。また1人、ベテランが力士人生に別れを告げた。

◆徳勝龍誠(とくしょうりゅう・まこと)本名・青木誠。1986年(昭61)8月22日、奈良市生まれで育ちは橿原市。小4から地元の「けはや相撲クラブ」で相撲を始め、明徳義塾高-近大から木瀬部屋へ。183センチ、190キロ。得意は突き、押し。