歴史的快挙だった110年ぶり新入幕優勝が、2場所連続あるぞ! 幕内1場所目で西前頭14枚目の欧勝馬(27=鳴戸)は、大関経験者の正代をはたき込んで9勝3敗とし、トップに浮上。春場所を制した尊富士に続く偉業が現実味を帯びてきた。単独トップだった平幕の湘南乃海は関脇阿炎に敗れて3敗に後退。優勝争いは大関琴桜、小結大の里を含めて3敗で4人が並ぶ大混戦となった。
勝ちを確信していた。欧勝馬は、正代に押し込まれながらタイミングよくはたき込み。しかし物言いがついた。右手が相手のまげをつかんだかどうかの確認。「自分では(まげに)触っていない感じだった。(指が)刺さらないように、刺さらないように、と思った」。協議の末、行司軍配通り。4連勝で9勝目。湘南乃海が敗れたため、3敗で優勝争いトップに立った。大関経験者を相手にしても「気にしないです。勝ち越して気楽な気持ちでとれました」と言った。
190センチ、158キロの堂々たる体。学生横綱として21年九州場所で幕下15枚目格付け出しでデビュー。しかしけがに泣かされ、新入幕まで2年半かかった。同じ日体大柏高で稽古をした豊昇龍は大関、2歳下の尊富士は先場所で新入幕V。遠回りをしたが、尊富士の姿に刺激も受け「すごいなあ、強いなあ。大学までは下の学年。幕内に上がって優勝している。おれにもチャンスがあるかな、頑張ろう」。110年もなかった快挙から、わずか2カ月後に達成する目標も大口ではない。
15年にモンゴルから来日。デビュー3カ月前だった21年8月に父プレブスレンさんが亡くなった。「急に心臓が止まっちゃったんです」。プロの土俵に上がることを楽しみにしていた天国の父に、大暴れする活躍を届ける覚悟だ。
新入幕での9勝は、師匠の鳴戸親方(元大関琴欧洲)に並んだ。「師匠を超えたいですね」と10勝目に意欲。13日目は三役との初対戦で、関脇若元春とぶつかる。「相手はもちろんすごく強い。力を出し切って。幕内に上がれて、勝てているのでうれしい」。無邪気に笑う27歳が大混戦の主役をさらう。【益田一弘】

