1966年に開場した国立劇場(東京・隼町)が建て替えのため、今年10月で閉場することになり、「初代国立劇場さよなら記念」と銘打った公演が目白押しです。9・10月は大劇場で通し狂言「妹背山婦女庭訓」、小劇場では8・9月に文楽公演「菅原伝授手習鑑」が上演されます。そして、9月28日には6年ぶりに「俳優祭」が開催されます。日本俳優協会に所属する歌舞伎、新派の俳優たちが総出演し、本公演とはひと味もふた味も違う配役による芝居に、人気者たちが店頭に立つ模擬店、そして俳優祭ならでは豪華な顔ぶれの舞台と、盛りだくさんな内容で、いつも大盛況です。39回目となる今回は、「菅原伝授手習鑑」加茂堤の場、車引の場の上演のほか、模擬店、映像で振り返る「初代国立劇場の思い出」、舞台「劇場八景名残隼」が予定されていますが、内容や出演者の詳細は今後発表されます。一等席は2万円と高額ですが、すぐに完売となるでしょう。
前回の38回は17年に歌舞伎座で開催され、「月光姫恋暫(かぐやひめこいのしばらく)」は上演されました。そこで気性の荒いかぐや姫役で主演したのが市川猿之助被告で、竹取の翁夫婦は尾上菊之助と市川海老蔵(当時)でした。俳優祭と「澤瀉屋(おもだかや)」の関係は深く、そもそも、1957年に第一回が開催された時の日本俳優協会会長は曾祖父の2代目猿之助(初代猿翁)で、俳優たちの福利厚生の資金集めが目的でした。そして、今も語り草になっているのが、1989年の俳優祭で上演された宝塚歌劇の大ヒット作「ベルサイユのばら」のパロディ版「沸国宮殿薔薇譚(べるさいゆのばらのよばなし)」で、3代目猿之助(現猿翁)が構成・演出を担当しました。今回ばかりは出演者やスタッフにも「猿之助」の名前がない俳優祭となります。【林尚之】




