伊坂幸太郎さんの小説には、しばしば生死を懸けた戦いが描かれるが、不思議と悲壮感は漂わず、すんなりエンタメ世界に浸ることができる。殺し屋3部作の「マリアビートル」をブラッド・ピット主演、「デッドプール2」のデヴィッド・リーチ監督で描くこの作品は、ジャパネスクな感じを前面に出し、かなりカラフルに上書きされているが、個性的な殺し屋たちのキャラクターは、驚くほど原作イメージに重なっている。

原作を読み込んでいるのだろう。不運を嘆きながら、ひょうひょうと窮地を脱していくレディバグ(天道虫)を演じるピットの肩の力はほどよく抜けている。

「ファイトクラブ」(99年)でピットのスタントダブルを引き受けたこともあるリーチ監督は、舞台となる新幹線車内を格闘技の変形リングのように使い、アクションの才を見せる。原作のままに「きかんしゃトーマス」のウンチクが絡むくだりには、伊坂作品へのリスペクトがにじむ。

殺し屋の1人として真田広之が剣術の達人として登場。隙のない殺陣で日本風味のクオリティーを支えているのもうれしい。文句なく楽しい120分だ。【相原斎】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)