【リモート取材会の言葉】「私こそ、ラブシーン処女なんですよ。いまだにお父さんには言えていません」

10月19日スタートのMBS/TBSドラマイズム「凛子さんはシてみたい」(MBS火曜深夜0時59分、TBS火曜深夜1時28分)に主演する女優高田夏帆さん(25)が、リモート取材会で語った言葉です。ダブル主演のA.B.C-Z戸塚祥太さん(34)とともに意気込みを語りました。

刺激的なタイトルへの受けとめを聞かれると「処女と童貞の設定なので。濃厚なラブシーンもたくさんありますが、ホッとする胸キュンもたくさんあります」。オープンで、朗らかで、聡明(そうめい)。打てば響くトークスキルがリモート越しにも分かり、取材陣の質疑も活発に。「私こそラブシーン処女」「一皮むけるぞという覚悟でやると決めたので」。見出しになる発言の数々に、作品を知ってもらいたいガッツがあふれ、翌日のスポーツ紙芸能面のアタマ記事を大きく飾っていました。

コロナ以降、ドラマ出演者などのリモート取材会もすっかりポピュラーになりましたが、空気やタイミングを共有しにくい環境で、生き生きと自己表現できる人はそう多くない印象です。モニター上で大勢の取材者と息を合わせる難しさはもちろんのこと、取材側のカメラは電波安定のためオフで要請されることが多く、媒体名だけが並ぶ分割画面に向かって話すのは、こちらが思う以上に難しいのかもしれません。

見えない相手をイメージして表情豊かに語れる人には効果的ですが、戸惑ったまま持ち味が出ずに終わってしまう人も少なくありません。民放の社長会見なども同様。新番組にうまく注目させて質疑を盛り上げるタイプもいれば、不機嫌そうに見えて損をするタイプもいて、発信力もいろいろです。

もちろん、聞く側のリモートスキルもまだ十分とは言えません。

リアル会見のような取材エリア独特の空気感が分からないので、「ご質問のある方」と振られても変な間が発生し、挙手ボタンの動向を凝視というムダな時間が流れることもしばしば。先日は、ベテランタレント2人の取材会で質問の手がさっぱり挙がらないという現象もありました。トークの達人すぎて最初にあらかた話してしまったためですが、「マスコミは冷たい」と落ち込んだまま終了となり、難しさを実感します。

これまでのリモート取材会であざやかだったのは、TBSドラマ「リコカツ」の北川景子さん。自らの夫婦観、離婚観について、夫DAIGOさんとのプライベートをからめてオープンに語り、分厚い聞き応えがありました。キュートな笑顔で言葉を尽くし、質問に制限を設けない聡明さはリアル会見での印象とまったく同じ。主演にこれだけリモート力があると、宣伝する側も心強いだろうと思います。

NHK大河ドラマ「青天を衝け」主演の吉沢亮さんも印象に残ります。取材者多数により「1人1問まで。ラリーなし」の制限付きでしたが、「最後まで生き延びた者の生命力やさみしさ」「ダークな面も出てきますよ」「千代は偉大です」など、自分の言葉で伸び伸びと話を展開。一問一答スタイルでも箇条書きのような味気なさを感じさせないところに、大河主演の求心力を感じました。

現在、芸能イベントはリアルとリモートが半々という感じです。緊急事態宣言の全面解除を受け、いろいろ変化があるかもしれませんが、先の見えないコロナ禍で、今後もリモート会見の出番は続きそう。悲観すればきりがありませんが、リモート越しだから分かるタレント力や言葉の輝きもあるはずで、これからも注目していきたいと思います。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)