ブロードウェー発ミュージカルの宝塚歌劇初演となる宙組公演「アナスタシア」が7日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。主演の宙組トップ真風涼帆、相手娘役星風まどから宙組にとって、新型コロナウイルスによる中断を経て7月に歌劇再開後、外部劇場作はあったものの、本拠地作は初めて。約1年ぶりの大劇場登場となった。

今公演は新型コロナウイルス対策により、これまで同様にオーケストラ演奏は録音ながら、ブロードウェー作だけに、劇団は「音楽が重要である」と判断。指揮者だけがオケボックスに入り、そのタクトを合図に音楽を流す形がとられた。

宙組全員での稽古はコロナ禍で初だった。小規模稽古など、レッスン場でも感染対策を徹底し、前日6日に最終通し稽古を終えると、真風は「4日間の舞台げいこ、ありがとうございました」とスタッフらに感謝。「明日(初日の7日)からも健康第一に努めて参ります」と約束した。

今作は、ロシア革命で殺害された皇帝一家の末娘アナスタシアが難を逃れたという「アナスタシア伝説」を描く1本もの。同名アニメ映画(97年)から着想し、ブロードウェーで17~19年にロングラン上演された。18年にはスペインなど世界で上演され、今年3月に日本初演もコロナ禍で途中中止。宝塚版では、詐欺師ながら純真な心を持つディミトリを主人公に、アーニャ(星風)との旅を描く。

真風は「詐欺師ですが、夢をもってパリに行く」ととらえ役作り。「あの時代のロシアで、きれい事だけでは生きられない。宝塚版で新しい楽曲もいただき、『悪さ』も新しい視点で楽しんでもらえれば」と意気込み、開幕に備えてきた。

2番手スター芹香斗亜(せりか・とあ)は、星風演じるアーニャをひそかに思うロシア新政府役人を好演。人気スター桜木みなとが、真風演じる主人公の相棒で元貴族をちゃめっ気たっぷりに演じる。

また、組長の寿つかさがアナスタシアの祖母マリア皇太后に、人気スター和希そらは皇太后の側近にふんし、ともに女役に挑戦している。

宝塚大劇場は12月14日まで。東京宝塚劇場は来年1月8日~2月21日。