タカラジェンヌを養成する宝塚音楽学校109期生の合格発表が30日午前、行われ、40人があこがれの扉を開く切符を手にした。合格者の中には、退団を発表した元雪組トップで専科スター轟悠の同期、萩尾仁美の娘、黒岩純奈さん(大阪・帝塚山学院高)もいた。

今年は、昨年に引き続き、本科へ進学する在校生による合格者番号掲示はなく、ホームページでの発表。受験者数は697人、競争率は17・4倍で、今世紀に入って最少。20倍を切ったのは07年95期以来、14年ぶりとなった。昨年来、新型コロナウイルスの影響で、受験準備などが進まなかった受験志望者もいたとみられる。

合格者40人の内訳は15歳が2人、16歳が12人、17歳が12人、18歳が14人。最高身長は178・4センチ、最低は155・5センチで、平均は165・4センチだった。

受験者は昨年が852人で、競争率は21・3倍でも、直近10年で最少だった。19年は915人で22・9倍、18年は965人で24・1倍。1000人の大台をめぐっては、09年97期に1106人と1000人台にのり、98期も1028人。東日本大震災のあった翌99期は940人に落ち込んだが、102期で再び1065人と大台に届いていた。

この日、合格切符をつかんだ男役志望で、前花組トップ明日海りおがあこがれという安田百仁華(やすだ・もにか)さん(16=東京・国立音大付属高)は、2回目の受験で、宿泊先のホテルでホームページを確認したという。

番号を見つけ「びっくりしたけど、うれしかった。(昨年の)最初の頃はコロナで稽古も進まず、でも、マスクを着けながら(稽古を)していました」と笑顔で振り返った。

また、娘役志望の川島笙(しょう)さん(16=大阪・梅花高)は、車の中でホームページをチェック。コロナ禍でレッスンも厳しかったが「家でも、できることをやろうと思って、筋肉トレーニングをしていました」と言い、ダンスや技術への下地となる体力強化に努めてきた。「たくさんの人に笑顔を届けられる舞台人になりたい」と、早くもあこがれの舞台へ思いをはせた。

例年なら、本科へ進学する制服姿の在校生が合格者の受験番号を記したボードを手に、校舎外の広場で午前10時ちょうどにボードを広げて掲示。両親やレッスンの先生らと抱き合い涙しながら歓喜する合格者、自分の番号がなくハンカチで顔を押さえ泣く受験生ら、明暗を分ける姿があり、毎春の風物詩でもあった。

109期生の入学式は4月16日に行われる。