漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏原作の人気漫画「鬼滅の刃」のアニメを制作したアニメ制作会社「ufotable(ユーフォーテーブル)」が9日、公式サイトで、同社と近藤光社長が法人税法違反などの疑いで起訴されたことを発表した。

「今般、弊社及び弊社代表が、法人税法等違反の疑いで起訴されました。弊社作品を応援いただいておりますファンの皆さまをはじめ、関係者にご心配、ご迷惑をおかけすることについて誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げます」

法人税法違反の件は20年6月3日、公式サイトで同社と近藤社長が東京国税局から告発を受けたと報告していた。その際「国税当局の指導に従って、平成27年8月期(2014年9月~2015年8月)、同29年8月期(2016年9月~2017年8月)及び同30年8月期(2017年9月~2018年8月)の3期について修正申告を行い、全額納税いたしました」と、修正申告は行ったと報告していた。

今回の起訴を受けて、同社は「国税当局の指導に従って修正申告を行い、全額納付いたしました。本件を契機として、持続可能なより良い作品づくりに向けた制作環境の整備に向け、法令を遵守し、経営の適正化に努めて参ります」と法令順守を約束した。

「鬼滅の刃」は、2016年2月15日発売の「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載がスタートし、4年3カ月の間、休載なしで205話、掲載された。大正時代を舞台に、主人公の竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、家族を殺した鬼と戦うために修業して「鬼殺隊」に入隊し、鬼と化した妹禰豆子(ねずこ、同=鬼頭明里)を人間に戻す方法を探して戦っていく物語。20年5月18日発売の漫画誌「週刊少年ジャンプ」に最終話の第205話がセンターカラーで24ページ掲載され、連載が終了。アニメは19年4月から9月まで各局で放送され人、気が爆発的に高まった。

同10月16日公開のアニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)は、01年の宮崎駿監督のスタジオジブリ作品「千と千尋の神隠し」が記録した興収316億8000万円を超え、日本映画の歴代興収記録を更新。国内の興行成績は、2日までに興収401億4400万円、動員は2905万3000人、海外は6月21日時点で、65の国と地域で134億1417万人を動員した。劇場版を含めた「竈門炭治郎 立志編」に続くシリーズ「遊郭編」のテレビアニメ化も発表されている。

ユーフォーテーブルは2000年(平12)に設立し、東京・杉並区に本社を置く。アニメーション企画、制作、シリーズ構成、シナリオ制作やテレビ番組、PVなどの実写映像企画・制作、CG制作クレイ・アニメーションの制作を行っている。また携帯電話コンテンツ、ウェブサイトの企画・制作・運営やキャラクターの企画・開発・デザイン、著作権の管理、アーティストのマネジメントなども行っている。