「第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」が昨年12月28日に日刊スポーツ紙面とニッカンスポーツ・コムで発表されました。発表当日に掲載しなかった部分も加えて、出演者インタビューでの言葉をあらためて掲載します。

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岡田准一(41)主演映画「燃えよ剣」(原田眞人監督)が第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)で石原裕次郎賞に輝いた。

「燃えよ剣」の受賞を受けて、岡田は「いただいた賞状にも『カツドウ屋』と書いてあったように、昔からあるような映画の作り方みたいなのができた現場でした。映画を愛している人たちやスタッフの方々がかけた情熱みたいなのものを感じ取ってもらえて、そういうことも含めて賞をいただいていると思うので、すごく光栄です」と喜んだ。

「新選組という有名な題材でありながら、キャストが役を生きるのがすごく伝わってくる不思議な現場でした。役柄の性質のまま、役者同士が自然に場を作っていた」と撮影を振り返った。「そういう時って、割と大体うまくいくというか。それはスタッフの方の力だったり、キャスト同士の相性の偶然だったりもあるだろうし、役柄との距離感がみんな近づけてたっていうこともあるかもしれないし。とても濃厚で濃密な時間を過ごさせてもらいました」と手応えを明かした。

劇中では新選組の副長となる土方歳三を演じた。「役柄の表面を見せるというより、土方という男がどれだけ血を流し、汗をかき、どういう体臭で、どういう風に戦い続けたのか、地に足着いて演じたいと思いました」と説明した。

高い身体能力を生かし、高度なアクションもスタントなしでこなす。「自分が得意としてるのは、心情だけではなく、体で表現をしていくところ。僕はやっぱり、体でも心でも表現して、両方できて1つの芸術だと思っているので」。今作でも殺陣を手掛けるなど、振付師としても貢献した。

「体の使い方のちょっとした積み重ねで、そのキャラクターの人格が見えてくると思うんです。裕次郎さんもそうだったと思いますし、勝新(勝新太郎)さんや三船(敏郎)さんも…。昔の役者さんは、説明のいらない説得力がすごい。そこにいれば、こうだったんだろうなと思わせることができる。動き方、さばき方、剣の使い方で、その人物が雄弁に語っている。僕もこだわっているところではあります」

昨年11月1日、V6が解散した。「今は全然心境の変化がないので戸惑っていますけど(笑い)。でも最後にきれいに終われたのでとにかく安心しています」。デビュー26周年での区切り。「アイドルグループで一番年下だったから見えたものもありますし、振付師として、俳優としての目線でもいろんなことを見てきました。どれも僕の中で大事に蓄積されるものだと思います」とうなずいた。

今秋公開予定の主演映画「ヘルドッグス」で原田監督と再びタッグを組む。「余白や空白の部分を安心して任せられる人になりたい。ト書きで書ききれない部分も『この7分やこの13分はアクションで岡田が面白く作ってくれる』と信頼してもらえる人でいたいですね」。来年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では織田信長役。「主演だけじゃなくて、脇ももっとあるかもしれないですし、暴れん坊の役柄も結構やるようになるかもしれませんね」と先を見据えた。

大きな節目を迎え、40代にも突入し、さらに深みを増していく。【横山慧】

◆岡田准一(おかだ・じゅんいち)1980年(昭55)11月18日、大阪府生まれ。95年V6としてデビュー。13年公開「永遠の0」で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞。来年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では織田信長役。血液型B。

◆燃えよ剣 司馬遼太郎氏の同名小説が原作。たぐいまれな剣の腕を持った土方歳三(岡田准一)は、武州多摩から、近藤勇(鈴木亮平)、沖田総司(山田涼介)らと京都に向かい、新選組として活動する。時代が大きく動く中、土方の苦悩や貫いた信念を描いた。