振付師でダンサー、タレントのパパイヤ鈴木(56)率いる、パパイヤ鈴木とおやじダンサーズが、1998年(平10)の結成から25周年を記念し、4月1、2日に東京・千代田区のI’M A SHOWでライブを開催する。「25周年記念LIVE DREAM MATCH~アニメ大行進~」と題した、ダンスとアニメ、アニソンを融合したライブとなり、4月1日に日高のり子と山寺宏一、同2日には井上あずみと堀江美都子とアニメ界、アニソン界の大物が登場する。
25周年記念ライブでアニソンと”合体”する裏には、鈴木のアニメへの愛と、22年8月に89歳で亡くなった声優の小林清志さんと、同12月に74歳で亡くなった”アニメソングの帝王”水木一郎さんという、ゆかりある大物2人への思いがあった。鈴木がライブ開催への思いと、音楽ファン、ダンスファン…そしてアニメ&アニソンファンに向けて勝負したい、新機軸について熱く語った。【村上幸将】
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パパイヤ鈴木とおやじダンサーズは、98年の結成早々、サザンオールスターズの「海のYeah!!」のCMに起用されて鮮烈に世の中に出た、おやじ5人からなるダンスチームだ。「普段はさえないおやじ達が、突然カッコいいダンスを踊り出したら…!?」とのコンセプトのもと、メンバーは当時、それぞれIT企業、トラック運転手、福祉介護、専門学校教師といった正業と並行して活動していた。
「激しく・切なく・精力絶倫」をモットーに、00年に開催した初の全国ツアー「DISCO de おやじ」では1万5000人を動員し、同年の秋の学園祭でも最多出場を記録するなど、一世を風靡(ふうび)した。その後も精力的に活動を続け、結成20周年を迎えた18年には、米映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の日本公開40周年にあわせたキャンペーン「ディスコ・フィーバー40」とコラボしたミニアルバム「Foolin’Disco」をリリース。70年代の日本に巻き起こったディスコブームに火を付けた名作映画にリスペクトをささげ、ディスコ定番曲をカバーしたことも話題となった。
そして25周年の今年、アニメ、アニソンとコラボする。鈴木にはアニメ、アニソンと、ともに生きてきた、という自負がある。
「昔から『ルパン三世』も、ずっと見ていたし…本当にドキドキしますよね。やっぱり、アニメソングは好きで昔からイベントでもやってきて。2007年(平19)にBS-i(現BS-TBS)で放送した『恋する日曜日』の最終回『昭和アニメ大行進~君は恋を信じれるか~』に出演したんですが、アニメの曲だけでドラマをやるという企画。頭から終わりまで、アニメの曲でやるのに、ストーリーがあった。だから、いつか、こういう形でライブをやりたいと思ってきた」
アニソンには、他の音楽にはない力があると感じてきたからこそ、コラボにチャレンジする。
「アニソンの力って、あるじゃないですか? 例えばダンスショーは、ヒップホップのイベントとかに行っても、最近の若い人が聞いているダンスミュージックは(一般の人が)知らない曲が多いと思うんです。でも、アニソンは、皆が知っている…みんなの心に残っているんですよ。そこが強みですよね。ライブでは、おやじダンサーズの歴史も、昭和の歌謡曲にも、もちろん触れます。その上で、みんなが知っている、アニメのいろいろな曲をたくさん出します」
そこに、1つの新機軸を組み込んでいる。
「今回は、アニソンの中で僕らが踊るんですが(バックに流すのは)曲だけなんですよ。そして一番、良いところで、歌手ご本人が出てきて歌う。アニソンのライブ、フェスには、踊りがあまり付かないですよね。アニソンに踊りをつけて、一番いいところで、ご本人の生歌がある…そういうの、見たことがないと思うんですよ。僕たちは、こういう踊りを、こういうアニメの曲でやる、というのを提示したい。パパイヤ鈴木は、このアニメに、こういう振りを付けるんだというのを見て欲しい。それが正解ということでは、ないんですけど、やりたいんで」
鈴木は、NHK紅白歌合戦はじめ、国内の大きなライブ、イベントで振り付けを担当してきたが、アニソンの振り付けは初めてだ。
「(紅白でも)やったことはないですね。僕は、こう見えて北島三郎さんあたりの振り付けもやっているんですよ。ちょっと、ここの振り付けを付けて…から全体までやってきました。じゃあ、何の曲だったら、おやじダンサーズが似合うんだろうか? と考えて曲選びから始まるんです。アニソンメドレーのコーナーがあるんですけど、そこにはストーリーがあって、そこにゲストの方の歌が絡んでくる感じで。僕としては、アニソン歌手の方が歌う時は、僕もステージ上で見ていたい感じ。僕ら出演者も、お客さんみたいな感じになっちゃうと思うし、それでいいと思うんです」
今回、出演する4人の中で、堀江とのコラボには特に緊張感をみなぎらせる。
「堀江美都子さんの時には、おやじダンサーズがやる、というわけにはいかないですね(笑い)堀江さんに、どこまで動いていただくか、分からないですけど…多分、若いバックダンサーを付けて踊る経験って、あまりないと思うんですよね。面白いものをやりたいじゃないですか」
”七色の声を持つ男”山寺との間には、どういうコラボレーションが生まれるのだろうか?
「山寺さんも、あの人は本当にすごい人。今回”七色の声”が出るか、分からないですけど…エンターテイナーですからね。ストーリーに絡みやすい。楽しみですよ」
日高のり子に期待するのは、WBCでも話題になった”あの”一言だ。
「『たっちゃん』って、言って欲しくて…。でも、うちのメンバーに『たつ』がつくの、いないんですよ。でも、聞きたいんですよね『たっちゃん』『たっちゃんじゃないです、パパイヤです』『パパちゃん』っていう掛け合いもありですよね」
「天空の城ラピュタ」の「君をのせて」や「となりのトトロ」の「さんぽ」「となりのトトロ」「おかあさん」「まいご」など、スタジオジブリ作品の歌の歌唱で知られる井上をはじめ、ベストな4人が集結した。
「僕は個人的に、井上さんの歌が好きなんですよ。『悪いことして、ごめんなさい』みたいに、内から心が洗われますね(笑い)本当に皆さん、来ていただきたい方に来ていただいている感じです。絶賛、振り付け中なんですけど…メチャクチャ、楽しいですよね。早く本番に入りたいです」
今回の企画に踏み切る根底には、若き日に振り付けと並行して行っていた、音響の仕事を通じての、アニメ&アニソンとの深い関わりがあった。
「僕は音響の仕事を、ずっと、やっていました。振り付けの仕事の、もう少し後ですね。東映動画(現東映アニメーション)と、ずっと一緒に仕事していて。最初は音作りで、キャラクターショーに、アクションショーとダンスショーの要素をプラスしたものを手がけていました。セリフも取って、音楽に合わせたテープを作って、音出しもしました。うちのおやじがミュージシャンだったので、現場に音響機器も持っていって、音回りをやって、少しずつ大所帯になっていったんです」
その中で、若き鈴木が出会ったのが”アニキ”水木さんだった。
「僕が25、26歳の頃、音響制作をしていたイベントで、水木先生がゲスト出演したのが最初の出会いでした。朝早くからのリハーサルで、聴いている人が僕しかいないんですけど、全開で最初から最後まで歌って、ネタまで入れて、すごい人だなと。終わったら『歌いやすかったよ』と。本番では、ポカをして音出しを間違ったんですけど『気にしないでくれ』って。その10年後に対談した時『あの時、そんな人いたね。あれ、パパイヤ君なんだ』と覚えていてくれて。事務所が引っ越したら、同じマンションで、仲良くさせていただくようになりました。たまに入り口で会ったりして『連絡してくれよ』と言われたんですけど、調子が悪くなられて…」
小林さんとの縁は、おやじダンサーズ始動のタイミングで制作した、紹介ナレーションを依頼したことで生まれた。
「(パパイヤ鈴木とおやじダンサーズを)作った時に、僕らのことを知らない人が、ほとんどだったので、どんなグループか知ってもらうために、頭にナレーションを入れてディナーショーやコンサートの前に流して、やった後に出て行くのを1つの形にしました。何人か声優さんに、ナレーションをやっていただいたんですけど、最初の清志さんが一番、はまっていた」
縁が深かったアニメ界、アニソン界の巨星が相次いで亡くなったことへの思いも胸に、25周年ライブに臨む。
「(亡くなった小林さんと水木さんの功績や、2人への思いを)形として残したい…というのもありました。たくさんのアニソンがかかるので、お楽しみに…と、胸を張って言えますね。舞台の良さもある。映像だと簡単にできることも、舞台では出来ないから面白くなっちゃう…そこが、楽しいのかな」
日1日と迫る25周年ライブを、最も楽しみにしているのは、鈴木自身かもしれない。
◆パパイヤ鈴木(ぱぱいや・すずき、本名・鈴木寛=すずき・ひろし)1966年(昭41)6月29日、東京都生まれ。幼少期からラテントリオ「トリオ・ロス・チカノス」ボーカルの父亮さんのラテン音楽を聴いて育ち、高校時代はバンドで米軍キャンプを回る。16歳でダンサーになり、17歳でポリドール(現ユニバーサルミュージック)から「ダンシングゼネレーション」でレコードデビュー。86年にCBSソニー(現ソニーミュージックエンタテインメント)で振り付け、タップダンスのインストラクターを務め、21歳の時に東京ディズニーランドを最後に振付師になる。09年にNHK大河ドラマ「天地人」へに出演をきっかけに33キロのダイエットに成功し、出版した著書「デブでした。」が大ヒットした。振り付けの代表作は、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」ロッテ「Fit’s」やスズキ「ソリオ」のCMなど。
※日高のり子の高ははしごだかが正式表記。



