昨年に歌手デビュー45周年を迎えた香坂みゆき(60)が、4月8日と5月12日に都内で還暦記念ライブ「SWEET 60TH ANNIVERSARY LIVE」を開催する。5年ぶりの単独ライブとなるこの日のチケットは、発売当日に完売。このほど、香坂が日刊スポーツの取材に応じ、ライブへの意気込みを語った。

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香坂は2月7日に還暦を迎えた。愛らしい笑顔は健在だった。

「還暦を理由付けにして、今年1年ははっちゃけて楽しもうと思っていて。『還暦なの! 還暦なの!』って言って、それを理由に、こんなこともあんなこともしてみたいっていうことは、してみようと思っていて」

高まる気持ちと裏腹に、冷静な自分もいる。

「でも還暦なので、ここから、何年生きられるんだろうって。あと、どれだけ元気でいられるんだろうっていうのが、やっぱり切実になってくるんですよ。まだまだっていうよりは、限りはあるから、やれる時にやれることをやって。『悔いのない人生を』って思うじゃないですけど、極端に言うと、本当にそういう感じなんですよね」

歌手デビュー45周年と還暦が重なった今年を集大成にする。5年前の40周年ライブではカラオケだったが、今回は32年ぶりのバンド編成で行う。ギター、ベース、ドラム、キーボード、コーラスの5人編成で、ライブ用に厳選した約20曲をバンドアレンジした。

「生音はやっぱり全然違います。楽曲を作り直すにあたって、昔のままにしている楽曲もあれば、これはもうちょっと今風に、こういうところを、あの音源を使って変えたいって言って、変えてもらったりして」

キーを下げたり、テンポを変えて工夫している。当時の香坂にぴったりの楽曲がある一方で、今の香坂にしか出せない味もある。

「音源を作ってもらっても歌ってみて、やっぱり合わないと、もう1回作り直してもらったりしています。そういう作業は大変ですけど、とっても楽しくて。出来上がってきた曲を聴いて、なんかちょっと泣けてきたこともありましたね」

現在はフリーで活動しており、練習スタジオの確保など香坂自らが行っている。制作、出演、プロデューサーの”三刀流”だ。

「全部基本は自分でやります。衣装も何を着るかを考えて。メークさんが必要だったら、会社に連絡したり。楽曲を全部作り終わってからお支払いするのだと申し訳ないから、ここまでやった音源をまずはお支払いするために、請求書を送ったりとか」

そんな香坂を助けてくれる仲間たちにも恵まれた。

「ブレーンの友達とか、専門家のみんなにいろいろと意見を聞いたり、助けてもらいながら楽曲を作っていける楽しさっていうのは確かにありますね」

チケットは両公演とも発売当日に完売。「予想外の展開」と謙遜するも、意気込みは十分だった。

「(当時と)同じようには歌えないけど、聴いた人がなんか全然違う歌じゃないって言われないように、歌いたいっていうのがすごくあって。その折り合いっていうか、いいところを見つけながら歌えるようにするっていうのが、今の意気込みというか、うん。私が一番やんなきゃいけないなと思っていること」

【高橋洋平】

◆香坂(こうさか)みゆき 1963年(昭38)2月7日、神奈川県生まれ。3歳でモデルを始める。14歳だった77年「愛の芽ばえ」で歌手デビュー。通算17枚目のシングル「ニュアンスしましょ」が資生堂のCMソングに採用されヒット。全楽曲がデジタル配信中。女優としては78年「銭形平次」でドラマデビューし活躍の場を広げる。現在テレビ東京「なないろ日和!」(月~木曜午前9時26分)のMCを担当。94年にタレント清水圭(61)と結婚、2男をもうける。