吉永小百合(78)が31日、東京・丸の内ピカデリーで行われた主演映画「こんにちは、母さん」(山田洋次監督、9月1日公開)完成披露試写会で、22年9月のクランクイン前に、山田洋次監督(91)から「もしかしたら途中で出来なくなるかも知れない」と告げられたと明かし、涙ぐんで声を詰まらせた。
吉永は舞台あいさつの最後に、司会のフリーアナウンサー笠井信輔(60)から締めのあいさつを促されると、山田監督との会話を明かした。そして「それを伺って驚きましたし、つらかったんですけど、撮影が始まって、どんどん、どんどん元気になって。今は先日も山口とか福岡の方にキャンペーンでいらしたり、大変、お元気になられたので本当に良かったと思いますし、たくさんの方に、この映画を見ていただきたいと切望しております」と訴えた。目には涙が浮かんでいた。
山田監督は「僕、小百合さんに、そんなこと言いました? ずいぶん、格好つけているんだなぁ」と言い、客席を笑わせた。2人は、72年「男はつらいよ 柴又慕情」、74年「-寅次郎恋やつれ」、08年「母べえ」、10年「おとうと」、15年「母と暮せば」に続き6作目のタッグとなる。吉永が「はい、おっしゃいました」と笑みを返すと、同監督は「あの時は、真剣に、そう思ったのかなぁ? でも、確かに(22年11月の)クランクアップの日に、やれやれ、良かった…途中で倒れたりしないで良かったと、どこかで思ったのは事実です」と続けた。そして「小百合さんも、皆さんもそうですけど、大勢のスタッフも、本当に僕がそういう状態にならないように一生懸命、サポートして心を込めて、この映画を作ってくれたんだ。本当に、みんなの力で作ったんだと思っております」と感謝した。
「こんにちは、母さん」は、日本を代表する劇作家、演出家で劇団「二兎社」を主宰する永井愛氏の、同名の人気戯曲が原作。妻から離婚を迫られ、人生に悩む会社人間の息子が2年ぶりに実家に帰ると、母が恋人らしき存在がいるなど生き生きしており、自分の人生を生き直そうと共同生活する物語。01年と04年に東京・新国立劇場で上演されると、07年にはNHKでドラマ化。舞台、ドラマともに、加藤治子さんと平田満が母子を演じた。
吉永は劇中で74歳の母・神崎福江、大泉洋(50)が47歳の息子・昭夫、永野芽郁(23)が大学生の孫・舞を演じる。昭夫が大会社の人事部長として神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、大学生になった娘との関係に頭を悩ませる中、久しぶりに東京下町の実家を訪れると、かっぽう着を着ていたはずの福江は、あでやかなファッションに身を包み、恋愛までしているようで生き生きと生活していた。昭夫は久々の実家にも、自分の居場所がなく戸惑うも、おせっかいがすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う母と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされていく物語。吉永にとっては123本目の映画で「母べえ」「母と暮せば」に続く「母」3部作の集大成となる。
この日は、昭夫の大学時代の友人で同じ会社に同期入社した木部富幸を演じた宮藤官九郎(53)と、福江がボランティアとしてサポートするホームレスのイノさんこと井上を演じた、ダンサーの田中泯(78)も登壇した。



