俳優香取慎吾(46)が、音楽劇「テラヤマ・キャバレー」(来年2月9~29日=東京・日生劇場、同3月5~10日=大阪・梅田芸術劇場メインホール)で故寺山修司さん役に初挑戦することが10日、分かった。

香取は「死を迎える寺山修司を演じます。(演出の)デヴィッド・ルヴォーさんが奏でる寺山修司に、僕の今をぶつけます。熱いキャバレーになりそうです。心燃やして参加します」と意気込んでいる。

2023年は、劇作家の故寺山修司さんの没後40周年。演劇、映画、ラジオ、テレビ、詩といったさまざまなジャンルにおいて、人々を引きつける数多くの作品、言葉は、当時の寺山さんを知らない世代にも注目されている。

演出には、ウエストエンド、ブロードウェー、日本とさまざまな国で活躍してきたデヴィッド・ルヴォー氏を迎える。主演は寺山さん役初挑戦となる香取が決定。2人は初顔合わせとなる。また共演者には、成河、伊礼彼方、村川絵梨、平間壮一、宝塚歌劇団の凪七瑠海ら、さまざまな舞台で活躍する役者がそろった。斬新な切り口の物語を新進気鋭の劇作家・池田亮が書き下ろし、「あしたのジョー」など寺山さんによる作詞の楽曲を数多く交えて、生演奏でオリジナル音楽劇として届ける。

物語は、寺山さんが亡くなる前夜から始まる。まだ残したい言葉がある、胸躍るようなスペクタクルが作りたい、人生という物語を完結させたくない-。自身の死をも劇化し、人々に何かを残そうとした寺山さん。寺山さんの前に「死」という登場人物が現れ、「死」と寺山さんの間で取引が交わされる。「日が昇るまでに、私(死)を感動させられる作品を作る猶予をあげよう」。寺山さんが最後に作りたい作品は完成するのか? 「死」を感動させるため、また寺山さん自身も満足するまで、寺山さん最後の作品を命がけで作ろうとする個性あふれる劇団員たちとともに作り上げた作品について描かれる。

◆演出のデヴィッド・ルヴォー氏コメント

「この作品は、寺山を『再現』することが目的ではありません。それは誰であれ、不可能なことだと思います。イギリスの演出家ならなおのこと、無理でしょう。寺山修司は社会的、または身体的な『のけ者たち』を作品の中心に据えていました。そんな彼は、今の世界をどう思うだろうか? 彼のまぶしいほどの想像力の灯火は、嵐のような現代において、どれほど奇妙で、滑稽で、とんでもない美しさを我々に見せてくれるのだろうか? このプロジェクトが提案された時、自分にはやらないという選択肢はありませんでした」