中日山井大介投手(43)と藤井淳志外野手(40)の引退試合として開催され、山井は「9番投手」で、藤井は「1番右翼」で先発出場した。

山井はヤクルト先頭の塩見から空振り三振を奪って降板した。藤井は1回はヤクルト先発サイスニードに見逃し三振だった。

現役最年長投手の山井は「20年応援してくれた人たちに最後の勇姿を見てもらえたなら」と、普段と変わらないサングラス姿でマウンドに立った。塩見への初球は外角低めへの143キロのストレート。1球ごとにスタンドから拍手が送られる。カウント2ボール2ストライクからの5球目、ワンバウンドする127キロの外角スライダーで空振りを取ると表情を和ませた。マウンドに内野陣が集まると、目をしばたたかせて見渡した。かつて同じ背番号29を背負った与田監督が交代を告げた後、マウンドに向かって山井をねぎらった。

藤井は1回表は守備機会がなく、その裏の打席でサイスニードに2球で追い込まれ、外角低めへの149キロの直球を見逃し三振。ファンのため息に苦笑いでベンチに戻り、そのまま退いた。

ともに中日一筋。山井は20年、藤井は16年。11年の最後のリーグ優勝を知る2人が戦いの場に別れを告げた。

山井は神戸弘陵-奈良産大-河合楽器を経て、01年のドラフト6巡目で中日に入団。新人の02年は31試合に登板し6勝をマーク。キレのある直球とスライダーを武器に主に先発として活躍し、12年には救援に回って56試合で4勝15セーブと。13年6月28日のDeNA戦(横浜)では史上77人目のノーヒットノーランを達成した。14年には自己最高の13勝(5敗)で最多勝利と最高勝率のタイトルに輝いた。今季の1軍登板はなかった。通算335試合で62勝70敗20セーブ、07年の日本シリーズでは完全試合リレーで日本一など、節目で強烈なインパクトを残した。

藤井は地元の愛知・豊橋市出身で、筑波大-NTT西日本を経て05年の大学・社会人ドラフト3巡目で中日入団。俊足巧打が武器のスイッチヒッターで、06年は福留孝介以来7年ぶりとなる新人開幕スタメンに抜てきされた。貴重な外野手として、落合監督時代の黄金期を支えた。地元豊橋市民球場で行われた試合で14年、15年と2年続けて劇的な本塁打をマーク。近年は若手の台頭で出番が減少し、ここ2年は1軍出場がなかった。【伊東大介】

◆山井大介(やまい・だいすけ)1978年(昭53)5月10日生まれ、大阪府出身。神戸弘陵-奈良産大(現奈良学園大)-河合楽器を経て01年ドラフト6巡目で中日入団。02年4月デビュー。13年6月28日のDeNA戦でノーヒットノーランを達成。14年は13勝で最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。通算336試合、62勝70敗、防御率3・75。179センチ、86キロ、右投げ右打ち。

◆藤井淳志(ふじい・あつし)1981年(昭56)5月20日生まれ、愛知県出身。豊橋東-筑波大-NTT西日本を経て05年大学・社会人ドラフト3巡目で中日入り。06年には新人ながら開幕スタメンに抜てきされるなど好守好打の外野手として活躍。通算1094試合、打率2割6分2厘、45本塁打、273打点。183センチ、82キロ、右投げ両打ち。