複数の女性からセクハラを告発されて今年8月に米ニューヨーク州知事を辞任したアンドリュー・クオモ容疑者(64)が、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で発揮した自身のリーダーシップやパンデミックとの闘いについて記した著書「アメリカン・クライシス」の報酬500万ドル(約5億5000万円)の返還を求められていることが明らかになった。
米ピープル誌などによると、ニューヨークの公共論理合同委員会が14日、クオモ前知事が著書の販売から得た全ての報酬の返還を求める決議を行い、賛成多数で決まったという。
報酬は30日以内にニューヨーク州に返済されることが求められているが、代理人は、委員会の決定が事実や法律ではなく政治的な背景によるものだと批判し、法廷で争う考えを示している。クオモ前知事はすでに312万ドルの報酬を受け取っており、今後2年間で追加の200万ドルが分割で支払われる予定だと伝えられている。
米CNNは今年5月に受け取った報酬のうち50万ドルを新型コロナウイルスに関連する救済やワクチン接種の取り組みを行っている慈善団体に寄付し、残りは3人の娘のための信託に預けたと報じていた。
新型コロナウイルスの感染拡大がまだ収束していない昨年10月に米大手出版社ペンギン・ランダム・ハウスから出版された著書を巡っては、パンデミックを金儲けに利用したとの批判も出ており、著書の執筆や宣伝に州の人的・物質的資源を使用した可能性も浮上し、州議会の調査を受けていた。ニューヨーク・タイムズ紙は、執筆に際して州の資源を利用しないと誓約していたことに違反していたと報じ、自身の部下に執筆作業の手伝いをさせていた疑惑が出ていた。
クオモ前知事は新型コロナウイルスの感染拡大初期に感染爆発したニューヨーク州で陣頭指揮を取り、連日の記者会見は全米ネットワークでも報じられるほど脚光を浴び、その手腕が高い評価を受けて一躍コロナ禍のヒーローとなった。しかしその後、死者数を実際よりも少なく公表する隠蔽(いんぺい)疑惑が浮上し、強制わいせつ罪で刑事訴追されたことで英雄からあっと言う間に容疑者に転落した。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)




