昨今、FIFAファイナンシャルフェアプレー(FFP)に関して大きな決断が下されました。その動向に注目が浴びる一方、表面化していないところにも大きな動きがあります。その中でちょっと気になるニュースをいくつか見つけました。お金のあるところには多くの問題が発生するものですが、管理体制に改めて疑問符が付きます。

まずはじめに紹介するのは、マンチェスター・ユナイテッドのケースです。1990年代にファーガソン・チルドレンによってもたらされた栄光はもはや過去のもの。ファンが求めるような再建になかなかめどが立たず苦しんでいます。

現在自由化したエージェントシステム。仲介人システムと言う形でワークしてはいますが、現地の報道によると、どうやらマンチェスターUにはおかしなことになっているようです。スールシャール監督は当然スカウトに対してどのような選手が欲しいのかなどリクエストを出して、それを獲得してくるのがスカウトの仕事になります。その入団条件にチーム側の仲介人を、自身がノルウェー代表時代から共に戦ってきた仲間にするという条件が盛り込まれると言うことのようです。つまり、獲得する選手の一部フィーが全て監督のポケットに流れていると…。これに嫌気をさしてクレームを入れたのがミノ・ライオラ。あのポグバらのエージェントになります。ポグバがもめているのは本人がチームを出たいと言っていることもあるかと思いますが、ひょっとしたら見えないところでもめていることも要因かもしれません。同じことがスペインの強豪チームにもあったと聞いています。その強豪チームは、新監督がそのシステムを指摘してクラブを変えたことで今でも評価されています。

そしてニュースになったマンチェスター・シティー。まず、欧州サッカー連盟(UEFA)による裁定に登場したFFPですが、これはサッカークラブの財政健全化のためにUEFAが2011年に導入した規則です(施行は2014年から)。移籍金や人件費(選手の給与)などの支出がクラブの収入を上回ることを禁じたものになります。また、金融機関からの借入金や、オーナーの資産を使って赤字を補塡(ほてん)することが禁止されています。このルールが導入された背景には、1990年代に選手との契約が自由化されたことがありますが、まさにこの自由化によって資金力がチーム力に直結するようになり、各国とも潤沢な資金力を持つ一部のビッグクラブの戦力が突出するようになってきたのが現状です。その結果、各国の強豪クラブはさらに巨額の資金を得るために海外からの投資を積極的に受け入れるようになったわけなのですが、それを先駆けたのがマンチェスターCでした。今回はいわゆる、粉飾決算的なものが突かれました。その代償は非常に大きく、2年間のUEFA管轄大会への参加禁止。CLで優勝することで100億円近い収入が見込まれるこの大会に2年も出ることができなくなるのは、大打撃であることは間違いありません。監督はこのまま継続されるのか、選手がクラブを出ることを選択するのかその選択が非常に注目を集めます。同じような形態をとっているチェルシーやパリサンジェルマンなどのクラブがどういった目でUEFAから見られているのか、なかなか表面化されない部分になるので、とても興味深いところです。

資金がないと話にならない世界ですが、その資金に振り回されている感も否めなく、もしかしたら資金に助けられ、その資金によって結局はクラブが破滅に向かうのかもしれません。引き続き現地の情報をベースに注視していきたいと思います。