18年平昌パラリンピック女子アルペンスキー座位で金メダルを含む5つのメダルを獲得した村岡桃佳(22=トヨタ自動車)が、陸上再デビューを果たした。100メートル(車いすT54)に出場し、18秒36の2位でゴールした。

“雪上の女王”もさすがに平常心ではいられなかった。「緊張しました。競技場に来て、久々の雰囲気に圧倒されました」。スキーを本格的に始める前は陸上選手。トレーニングの一環としても続けていたが、レース出場は中学1年生以来という。スタートで出遅れたものの中盤までは優勝した日本記録保持者・中村嘉代(関東パラ陸協)を追走したが、最後は突き放された。「速く進まなきゃと焦りが出て、自分の思う通りのレースができませんでした」とさわやかに笑った。

挑戦のタイミングが会わなかっただけで、陸上への思いは以前から強かった。平昌で5つのメダルを手にし、18-19シーズンに初のW杯総合優勝。今春に早大を卒業して同大学院に進み、トヨタ自動車に入社した。環境が変わり、スキーで挑む22年北京パラを考えてもチャンスは今年しかなかった。

20年東京パラ前年の挑戦だが「私はまだそのレベルにないです。この時期に選手の方々には申し訳ない思いがあったんですが、私なりに全力で取り組みたい」と控えめだ。ただ4つの世界記録を持ち、東京パラ金メダル候補の佐藤友祈が所属するWORLD-AC(岡山)の練習に参加するなど本気度は伝わってくる。

「スキーは陸上の役にまったくは立たないですね。何で始めたんだろう、と思うくらい練習はキツイですが、でも楽しいんです」。村岡は7月に国内2大会への出場を予定している。【小堀泰男】