男子走り幅跳び予選で橋岡優輝(22=富士通)が8メートル17と全体3位で、日本勢37年ぶりの決勝進出を決めた。いとこでサッカー日本代表DF大樹(22=シントトロイデン)もニュージーランド戦で準決勝進出に貢献。いとこ同士で同時刻に違う競技で五輪出場という快挙も実現し「後悔のないように決勝に臨みたい」と前を向いた。

父利行さん(57)は棒高跳びで日本選手権5連覇を含む7度優勝、母直美さん(52)も100メートル障害で高校総体3連覇などの実績を誇る。優輝は、その1人息子。小学校まではスポーツを習っていない。球技は中学から始めても、トップになるのは難しいと思い、父母と同じように陸上の道を歩み始めた。利行さんは言う。「膝下のバネ、ストライドの大きさは妻に似ている」。ただ、成長できた源は最強DNAだけではない。家族愛が詰まったストーリーを歩んできた。

競技を始めてから母は日々の料理にも気を使うように。鶏肉は皮をはぐなど高タンパク、低カロリーを徹底。その毎食が無駄のない体作りの糧となった。大会後は家族が撮影したビデオを見て、助走や跳躍などの修正点を細かく確認するのは、今も日課だ。高校は八王子学園八王子を選んだ。叔父であり、00年シドニー五輪走り幅跳び代表渡辺大輔氏(46)の指導を受け、走り幅跳びの才能を伸ばした。

昨年からコロナ禍で練習場が使えなくなった時は、母と父をそれぞれ担いで「重り」としスクワット。何とも家族愛が詰まったトレーニングで足腰を鍛えた。また不安なコロナ禍では、気持ちが折れないよう父母もランニングに付き合ってくれた。

19年世界選手権では日本勢史上初の入賞となる8位。予選3位突破で迎える2日の決勝はさらなる成長を示し、結果で家族へ恩返しの舞台とする。【上田悠太】