東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は31日、新型コロナウイルス対策として東京五輪の競技会場の医務室に配備し、使用しなかったマスクやガウンなどの医療資源を一部廃棄処分していたと発表した。

組織委によると、廃棄したのは1箱50枚入りのマスク660箱。ガウン3420枚。手指消毒液380本。廃棄したマスクは全体の12%、ガウン、手指消毒液は全体の各7%だった。総額500万円分で、マラソン、ゴルフ、野球、ホッケー、サーフィン、ビーチバレー会場など、札幌、神奈川、東京などの計9会場で廃棄が行われた。

組織委の山下聡大会運営局長は「あってはならないこと。謝罪申し上げ、パラリンピックではこうしたことがないように再発防止に努める」と陳謝した。

山下氏によると、撤収作業にあたり、心電図や血圧計などのレンタル備品は返却。医療従事者や地元施設に対し、消耗品で譲渡可能なマスクやガウン、手袋は一部譲った。会場の撤収期限が迫る中、保管場所を用意していなかったことから、未使用の医療資源を一部廃棄してしまったという。

山下氏は原因について「準備段階では観客が入る前提で調達していたので、かなりの量があった。発熱した人がそれほどなく、コロナ疑いで防護服を着ける機会もそれほどなく余った。個人で活動する方はかなりお持ち帰りになったが、大きな病院から来ている方々は寄付など手続きを踏んだものでないと、管理上、簡単に持ち帰れないと。見通しが甘かったことが大きな原因です」と説明。さらに「一時保管場所を用意せず、的確に指示しなかった。私に責任がある」と、組織委の判断ミスを強調した。

組織委によると、廃棄が判明したのは29日昼すぎ。隔離施設で一部医療資源の在庫がなかったため、他会場から融通しようとして、一部廃棄の事実が判明した。他会場でも確認を行い、再発防止の見通しを立てた上で、発表したという。

今後は保管場所を確保した上で、東京都など自治体に相談して、有効利用先を見つけていくとした。