宮城に降臨したスター軍団のスペインが、120分間に及ぶ死闘を制して4強入りを決めた。コートジボワールを延長戦の末に5-2で破った。1-2の後半ロスタイム3分、FWラファ・ミル(24)が途中出場からわずか1分で、起死回生の同点ゴールを沈め、延長前半8分にはFWオヤルサバルが決勝のPKを沈めて逆転。ミルは延長後半12分、同ロスタイム1分に2点を追加し、ハットトリックを達成した。自国開催で栄光をつかんだ92年バルセロナ以来7大会ぶりの金メダルへ、あと2勝とした。

土俵際からよみがえった。W杯にも引けを取らない最高峰の国際大会、欧州選手権で正守護神だったGKシモン、同大会で5試合に先発し、スペイン史上最年少出場で最優秀若手選手に輝いたMFペドリら精鋭6人が五輪にも参加。全員がコートジボワール戦でスタメンに名を連ねた。しかし、この試合では2度のリードを許す苦しい展開。それでも大本命らしく逆境をはね返してみせた。

敗退も頭をよぎった。1点を追う前半30分に同点ゴールを決めたFWダニエル・オルモ(23)は、後半ロスタイム1分に1-2と勝ち越され、「自分たちは終わったと思ったが、ロスタイムのおかげで生き返った」。出場31分間でハットトリックの救世主ミルは「オリンピックという舞台で3ゴールでき、準決勝に進めたことに満足している。すべて自分1人のゴールではなかったし、仲間とともに目標を達成できてハッピーだ」。“無敵艦隊”スペインが、準決勝で日本と好勝負を演じる。【山田愛斗】

○…02年日韓W杯の舞台にもなった宮城・利府町の宮城スタジアムでは、男女のサッカー競技計10試合が開催された。この日の男子準々決勝、スペイン対コートジボワールが宮城で行われる五輪最終戦。欧州屈指の強豪国であるスペインの登場とあって、今大会で最多の5500人の観客が来場した。試合開始前の選手紹介から試合終了のホイッスルが鳴るまで、大きな拍手が選手たちを後押しした。