卓球混合ダブルスで日本卓球界初の金メダルを獲得した水谷隼(32=木下グループ)が、試合前日まで医師に相談し、目の治療を行っていたことが27日、分かった。

角膜の形状を整えるコンタクトレンズを装着する治療で、決勝前日はレンズを装着したまま就寝し、起床時に外すことを医師に指示され、実行していた。

「オサート」と呼ばれる治療で三井メディカルクリニックの三井石根院長(61)が大会中もメールで治療の具体的な内容を指示していた。

水谷の場合は同レンズを長く着け続けると遠視になる恐れがあるといい、翌日が午前中の試合なら、就寝前の1時間だけ着ける。翌日の試合が夜なら、就寝中ずっと装着する。

水谷は13年に左目を、18年に右目をレーシック手術した。三井氏によると、その影響もあり、ショーアップされる昨今の卓球会場ではボールが見えづらくなる症状が出やすくなるという。

卓球会場は卓球台周りは非常に明るいが、客席は暗い。三井氏は「視線が暗い客席にいくと、瞳孔反応が強く開きやすい水谷選手はまぶしく感じる。するとボールが見えにくくなる」と分析。それをオーダーメードのコンタクトで矯正する。19年春から五輪延期が決まるまでの約1年間と、今年5月からの本大会まで治療をしてきた。

19年11月に東京五輪のテスト大会として行われたチームW杯では、本番の照度を確認するため三井氏も東京体育館を訪れた。

サングラスは水谷が訴えている「光のざらつき」を抑えるためといい、「あまり暗くしすぎるとまた瞳孔が開きやすくなるため」薄い色のものを使っているという。五輪本番でベストな状態にするために、長い時間をかけて調整してきた。【三須一紀】