卓球混合ダブルスの金メダルに続き、女子シングルスで29日、銅メダルを獲得した伊藤美誠(20=スターツ)には、気心知れた他競技の友がいる。フィギュアスケートで元世界ジュニア女王の本田真凜(19=JAL)とは16年に国立スポーツ科学センター(JISS)の研修会で出会い、以降はプライベートでも互いに支え合ってきた。同じ競技者として、友として見てきた伊藤の素顔を本田が明かした。【取材・構成=松本航】

   ◇   ◇   ◇

美誠ちゃんの試合を見て、いつも対戦相手へのリスペクトを感じます。シングルスの相手が、ダブルスで仲間になる競技。普段から試合翌日にライバル選手と遊んでいたり…。勝敗に関係なく相手を大切にし、自分の気持ちを切り替えられるからこそ、その関係性が生まれるのだと思います。

2018年、私の全日本選手権を見に来てくれました。うまくいかず(15位)、試合直後に会うと「もう嫌や~」と本音が出ました。その時に「他の人のことを思って演技しなくていいんじゃない?」と言われました。周りは「大丈夫だよ。頑張って」と励ましてくれますが「『周りをがっかりさせちゃう』じゃなく『自分ががっかりする』。考えを変えた方がうまくいくんじゃない?」という言葉は新鮮でした。注目してもらうと考えることが増えます。美誠ちゃんの発想は、とても参考になりました。良くないことは良くないと言ってくれます。

いつも会うのは大阪(梅田近く)の中崎町。食べ物とか服を調べてくれて「これ、おいしそう。今度行こう」と連絡がきます。焼き肉屋さんに行った時は、帰りの大阪駅で笑いながら「写真撮ろう」と言われて…。そこで、私がお店のエプロンをつけたまま歩いていたと気づいて、大爆笑でした。

5年前のリオ五輪は私のジュニア時代のように、考えすぎずに戦えたと思います。ただ、今回はエース。中国の試合では、毎日のPCR検査で「鼻が痛い」という話も聞いていました。精神的な難しさはたくさんあると思います。それでも思いっきり出し切ってほしい。最高の「美誠スマイル」をまだまだ見られるように祈り、応援しています。