男子団体の準々決勝で日本がスウェーデンを3-1で下し、2大会連続の準決勝進出を決めた。日本は「奇襲作戦」で1回戦からオーダーを変更。ダブルスを左利き同士から、張本智和(18=木下グループ)と丹羽孝希(26=スヴェンソン)の「右左」ペアに切り替えた。

国際卓球連盟(ITTF)の世界チームランキングでは日本が3位、スウェーデンが5位。水谷も勝敗について「五分五分」と話していた。不利と言われる「左左」のペアでは第1試合のダブルスを落とす可能性がある。先制を許せば相手に流れを持っていかれるため「右左」のペアに変更した。

倉嶋洋介監督の采配が奏功し、第1試合のダブルスで先制。前日午前の1回戦後、たっぷりあった午後の時間帯でオーダー変更と、張本・丹羽のダブルス練習を行った。練習はわずか2時間。倉嶋監督は「選手それぞれに1対1で変更の相談をした。みんな納得していた」と話した。

かつて国際大会で組んだことがあるペアだが、五輪前の代表合宿では1度も練習しなかった。それでも試合前日に1度、2時間の練習という急造ペアで見事に勝利。「左左、右右と違って右左は慣れてるんで賭けではないですよ」と笑った。倉嶋監督は6月に記者団の取材に応じた際も「シングルスで水谷を2点使いする可能性も残す」と話していた。

合宿中、張本にダブルス練習をさせなかった理由もある。エースとはいえ五輪初出場の高校3年生。シングルスもダブルスもと要求過多になれば精神的な負担が増えると考え、エースとしてシングルスに専念させていた。

しかし、張本はこの日、「シングルス種目が終わってから(団体での)ダブルスもあると考えていた。自分は今、圧倒的に2点を取れる立場ではないですし、それはちゃんと分かっている。ダブルスに出ても2点が取れればいい」と納得し、チームに貢献することを優先。シングルスではまさかの4回戦で姿を消していた。

続く水谷隼(32=木下グループ)は敗れたものの、第3試合の張本が第1ゲームを取られても挽回し、勝利。えび反りでガッツポーズし「チョレイ!」と叫ぶ「ハリバウアー」が今大会初めて飛び出た。

第4試合では水谷が敗れた世界ランキング9位のマティアス・ファルク(29)に対し、同17位の丹羽が3-0と圧倒し、準決勝進出を決めた。丹羽が2点を挙げる活躍だった。2大会連続のメダルへ王手。準決勝ではドイツと台湾の勝者と対戦する。【三須一紀】