早くも欧州は、今シーズンの前半戦が終わりました。この時点で監督交代を敢行するチーム、選手補強によってなんとか持ち直しを図ろうとするチーム、そしてバックアッパーを入れることで優勝を目論むチームなど様々な動きがあります。

その中で、イングランドではリバプールが絶対的な安定感で開幕から終始首位をキープし2位に勝ち点13差をつけて独走態勢に入りつつあります。やはり米大リーグのボストンレッドソックスを保持するフェンウェイグループの莫大な資金的バックアップが大きいのでしょう。1989-90シーズン以来の優勝に向け抜け目なくバックアッパー含めて補強を行いつつ、前半をリードしています。

131年を誇るイングランドサッカーにおいて、前半終了時に勝ち点を10以上リードしたクラブがタイトルを逃したのは1回だけ(1995-96のニューカッスル)という状況の中、今のリバプールが優勝を逃すということは考えられるのか?思う状況です。そこにまさか日本人選手(南野)が絡もうとは…。様々なことが起こりまくっている状況で、2位にはまさかのレスターがつけています。チェルシー 、マンチェスター勢、アーセナル、トッテナムといった上位常連チームの巻き返しに期待したいところです。

スペインではレアル・マドリードとバルセロナが17年ぶりにスコアレスドローというクラシコを演じました。安定の2強がリードしており、優勝争いもこの2チームを中心に繰り広げられるといった状況。アトレティコ、セビージャ、バレンシアあたりが下位チームとの戦いを落とさず、かつ上位チームを負かすことができればまだ可能性はあります。

スペインの隣国イタリアには変化がみられます。前半戦終わって首位に立ったのはユベントスではなくインテル・ミラノ。リーグ戦5連覇から10年が経ち、ようやくユベントス時代に終止符が打たれるのか?という状況ですが、注目すべきはそのインテルを2016年から支える中国・大手家電販売グループの蘇寧電器グループの御曹司で、インテルの現会長でもあるスティーブン・チャンの存在です。会長に就任した時の年齢が26歳ということで、経歴を追ってみると高校からアメリカに留学し、大学はM B A最難関と言われている超名門校ウォートン・スクールを出ています。その後モルガン・スタンレーに勤務し、中国に帰国し、父親が経営していた家電小売販売会社の蘇寧電器に入社。同時にインテルを買収。インテルの会長になる訳なのですが、いまだ26歳という若さが非常に驚くところ。個人的に注目しているのはモルガン・スタンレーにて金融の知識があり、経営と言う部分の手腕も持ち合わせると言う部分です。まさに日本のJリーグでも今後求められていくのは金融的知識・経験と経営経験の持ち主なのではないかとも感じてしまいます。

現在リーグ前半を終えて首位という状況で、長く続いたユベントス時代の終わりを予感させるような状況ではありますが、この1月での人員整理が鍵になることは間違いありません。そしてマーケティング面で考えるとエスパニョールでウー・レイ選手が注目されているように、中国代表クラスの選手のインテル加入というところでしょうか。更なるマーケティング収入によるフォローを獲得しつつ、世界各国のスーパースターをかき集め、さらにそれをまとめるリーダーとしての監督を据えるという部分では今後の活躍に期待を感じさせます。楽しみなチームでありますが、資金がなければ何もできない現状からすると、若き彼らにとってそれはまさにジャパンブランド・セガが開発した“リアル・サカつく“とでも言えるかもしれません。テレビゲーム的な発想からいけば20代の若者に経営を任せた方が成功してしまうのかもしれません。【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)