来季J2に降格するアルビレックス新潟で、選手の流出が続いている。

 今季主将を務めたDF大野和成(28)が来季J1に復帰する湘南に、副主将のMF小泉慶(22)が柏に完全移籍。GK守田達弥(27)も松本に完全移籍が決まった。

 主力クラスの移籍は今のところこの3人。目立つのは期限付き移籍中の面々が、復帰せずに完全移籍していることだ。

 16年リオ五輪代表で、松本に期限付き移籍していたFW鈴木武蔵(23)は来季J1に昇格する長崎、MF小塚和季(23)はJ2山口への期限付き移籍を終え、新潟と同様に来季J2降格の甲府、DF増田繁人(25)はJ2町田から来季はJ2岡山。いずれも完全移籍する。将来の主軸として期待され、3人とも「武者修行」に出た選手たちだった。

 新潟にとって、期限付き移籍組の復帰は効果的な補強だった。もともと他チームの主力や、名のある外国人選手を獲得してきたわけではない。他クラブで経験を積んで、復帰してきた選手をステップアップした形で起用してきた。今季磐田で活躍したFW川又堅碁(28)も12年に岡山で18点を挙げ、復帰した13年に23得点した。大野も愛媛、湘南と期限付き移籍。復帰後に主将を務めるまで成長した。

 「新潟に戻ってレギュラーになり、期限付き移籍先のクラブに恩返しをする」。それが彼らの合言葉でもあった。1年でのJ1復帰を目指す来季、もしかしたら、彼らが最も必要とされるシーズンだったかもしれない。「いずれは新潟のために」と養ってきた力を見せる姿を、大事な時に見られない。そう思うと寂しさは否めない。

 それでも、彼らが新潟をベースにしてキャリアを積んできたことは間違いない。これから所属するチームの主力になることで、かつての所属先、そして新潟へ思いを示すことを期待している。【斎藤慎一郎】


 ◆斎藤慎一郎(さいとう・しんいちろう)1967年(昭42)生まれ、新潟県出身。15年9月から新潟版を担当。新潟はJ2時代から取材。サッカー以外にはBリーグ、Wリーグのバスケット、高校スポーツなど担当。