U-20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)ポーランド大会(23日開幕)に臨む日本代表メンバーが7日、日本協会で発表された。

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MF久保建英(17=東京)FW安部裕葵(20=鹿島)GK大迫敬介(19=広島)が選出を見送られた。安部と大迫はACLの結果に左右される可能性も残すが、負傷などなければ南米選手権に臨むA代表に初招集されることが内定した。当初は、本流のU-20W杯出場でクラブと話がついていた。3人も熱望していた。2年前の韓国大会で堂安や冨安が躍動し、海外移籍につなげ、A代表でも定位置をつかんだイメージが強く、本場欧州での世界大会で「世代最強になる」「名前を売り込む」と燃えていたという。

そこにA代表から話がきた。「日本サッカー界の宝を伸ばす環境づくり」が仕事の森保監督はブレていない。兼任前、オリンピック(五輪)監督になった時も「Aに人材を送り込む」とメダルの前に口にした。その意向は常に協会幹部には伝えていたが、クラブへの要請で後手に回った。根回し済みだったU-20に対し「後出しだ」と。日程がほぼ重ならないとはいえ2大会の派遣は負担が大きく、容認はできない。

それでもA代表最優先に異論はない。南米への招集難航も理解できる。拘束力がなくフルの編成を組めず、東京五輪世代U-22代表が中心。主に昨秋アジア大会メンバーになる。板倉、中山らがいるオランダには3月に森保監督が訪れ、4月にも右腕の横内コーチが非公表の視察で飛んだ。その中でU-22だけでなくU-20の3人にも頼らざるを得なくなった。

一方で年齢制限のない海外組は、1度は派遣OKを取りつけても、今夏に移籍することになれば、ご破算になる。例えば中島。アジア杯を欠場したため南米は呼べる見通しだったが、欧州再挑戦の可能性があるため流動的になった。アジア杯に出場した主力の一部も同様だ。国内組もリーグ戦が中断しないため難色を示された。6月はキリンチャレンジ杯もあり、トゥーロン国際もある。後者に至っては“大学選抜”が精いっぱい。コーチも、ある地方大学の監督を招くほどだ。

いずれにしても、あとは結果論になる。U-20は3人に加えて浦和DF橋岡やG大阪GK谷も負傷で欠いた。飛車角に金銀も落ちる影山監督はふびんだが、開き直るしかない。飛び級の3人も、主力のU-20ならフル回転できたが、南米選手権ではベンチを温める時間が長くなる展開も予想される。世代のトップを争う真剣勝負と、世界の最高峰を敵地南米で体感すること-。どちらもメリットはあるが、最後は純粋な競争を約束している森保監督を信じるしかない。【木下淳】