来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を考えれば当然、負けられない試合だった。

それでも、11月3日に控えるペルセポリス(イラン)とのACL決勝第1戦を考えれば、やむを得なかった選手の入れ替え。直近の24日のACL準決勝、水原(韓国)戦からGKクォン・スンテと、DF昌子源を除く9人が入れ替わった。その経験の浅い選手たちが躍動し、ほぼベストメンバーのセレッソ大阪を打ち破った。昌子は言う。「全員の名前を言いたいくらい、全員が良かったと思う。精度は今日はなしにして…ほとんどカウンターでしか攻めていない気もするけど(苦笑)みんなが、勝ちたい気持ちが伝わった試合だった」

後半7分、MF永木亮太の左CKを頭で合わせたのは2年目のDF小田逸稀だった。173センチ。決して背は高くないが、本人が自信を持つヘディングシュート。「練習から数をこなしたり(鈴木)優磨くんと競ったり、GKに協力してもらった経験が生きたと思う」。C大阪の韓国代表GKキム・ジンヒョンにはじかれ、かき出されたかに見えたが、ゴールラインを割った。

「入ったのか分からなかったけど、副審を見たら旗が上がった。暴れたいくらいの気持ちだった」。これに昌子は「魂込めて打ったから、韓国代表のジンヒョンがポロリしたかもしれない。もしかしたら、そういうのが伝わっているかもしれない」と振り返った。

リーグ初出場のMF久保田和音が不慣れなゲームメーク役を担い、初先発のFW山口一真は両チーム最多9本ものシュートを放った。MF田中稔也は果敢に右サイドから中に切り込み、普段はセンターバックのDF町田浩樹は左サイドバックをこなした。その若手を、小笠原満男や永木亮太のボランチや、昌子と犬飼智也のセンターバックコンビ、GKクォン・スンテの「経験者」が支えて、生かした。だからこそ、チームが躍動し、公式戦6試合ぶりの勝利につながった。

この勝利はとてつもなく大きな勢いをチームに与えた。試合後のロッカー室では「次はACLを絶対に勝つぞ!」「おれたちがやってやる!」といった声が飛び交ったという。昌子は「今日の試合はみんなに刺激を与えまくったと思う。次、勝たないと意味がない」と全員の思いを代弁していた。