清水エスパルスが進化した姿を見せつけた。ヤン・ヨンソン監督(58)は開幕戦で3バックを採用。新たなチャレンジに挑んだ指揮官の大胆な采配が的中した。

前半30分、左サイドで小気味いいパスワークから相手を揺さぶると、中央に展開。MF金子翔太(23)のパスにFW北川が抜け出した。「慌てずに、GKの取れない位置に打てた」。左足で逆サイドのコースを突いたシュートで先制点。プロ5年目で初の開幕ゴールを奪った22歳は、歓喜の輪の中で笑みを見せた。

新布陣の強みで先手を取った。3-6-1のシステムは、攻撃時に味方同士が近い距離感でプレーできる。先制シーンも、ファン・ソッコ(29)と松原后(22)のDF2人がパス回しに参加。連動した攻撃で相手のブロックを崩した。

後半はパワープレーに徹した相手に押し込まれた。同12分に失点し、後半はシュート0本。押し込まれる展開での課題は残したが、最少失点に抑えたことで守備での手応えもつかんだ。DF立田悠悟(20)も「いい時と悪い時の差が、試合が進む中で分かった。その部分をいち早く修正できれば、もっと良くなる」とうなずいた。

この日の布陣は、鹿児島キャンプ終盤から本格的に練習を始めたばかり。未成熟だが、新たなオプションとなるめどは立った。主将のMF竹内涼(27)も「改善は必要。ただ、可能性があることは見せられたと思う」。今季の目標はトップ5。高みを目指す「新生清水」にとって、順調な船出となった。【神谷亮磨】