現在までバイエルン・ミュンヘンのチームドクターを約40年間務め、ドイツ代表でも20年以上同職に就いていたハンス=ウィルヘルム・ミュラー=ウォールファールト医師が、昨今のスポーツ医学について持論を展開した。

専門誌「シュピーゲル」のインタビューに応じたミュラー=ウォールファールト医師はその中で、現在のスポーツ医学界には多くの誤診が存在しているとし、その原因は「ドクターが、自分の腕よりも、磁気共鳴画像装置(MRI)をより信頼するようになったため」と語ったという。そして同医師は「私の経験上、例えばスポーツ選手の筋肉系負傷の場合、MRI検査の50%以上が間違っている。多くの場合(本来の症状よりも)深刻に写し出されてしまう」と続けた。

その結果、「本来必要とされているよりも長く休息期間が与えられることで、そのぶんかつてのフォームを取り戻すのに時間がかかってしまう」と、ミュラー=ウォールファールト医師は考えており、「放射線科の医師とスポーツドクターが、お互いの経験を伝えあい、細かく意見交換していくしか、改善の方法はない」とコメントしている。