20年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は9日、主に国内の会社や富裕層向けに販売する五輪高付加価値型観戦チケットの締め切りを、急きょ3日後の12日午後11時59分に設定した。申し込みが多いチケットに限り、販売方法を先着順から抽選に変更した。

8月7日に同チケット販売概要を発表した時点では、受け付け開始時期を8月下旬以降としていた。それから約1カ月半、販売概要について公表しなかった理由について運営事業者STHジャパンの担当者は「需要過多なチケットがあり(販売方法について)組織委との協議に時間がかかった」と説明。組織委の高谷正哲スポークスパーソンは「全体像の周知する機会がなかったこと、おわびしたい」と話した。

先着順を抽選に変更すると決定したのは10月に入ってから。理由について鈴木秀紀マーケティング局次長は「かなりたくさんのお申し込みがあった。メールの一斉送信などを利用した場合、同時に着くか分からない。用意している仕組みの中で、先着順の公平性が担保できるか分からなかった」と回答した。

概要発表から受付期間が3日後と短すぎるとの指摘にSTH担当者は「(8月7日の)プレオープンも含めてお問い合わせフォームは常にオープンしている。登録する時間は十分あった」と話した。

8月7日以降、同チケット販売サイト上では「お問い合わせフォーム」と呼ぶ申込用紙がダウンロードでき、それを事務局宛に送付できる仕組みはあった。送付済みの申込者は、それを購入申し込みとするため「不利益にならない」と高谷氏。しかし「8月下旬以降に申し込み開始」という情報はこの日まで更新されず、同フォーム送付者に対し個別のアナウンスもしていなかった。

購入希望が多かったのは開閉会式が含まれるものという。高付加価値型観戦チケットの最高額は635万円、最低額は9万円。飲食も伴う。

635万円のチケットは開閉会式と男女100メートル、200メートル、4×100メートルリレー、男子400メートルなど陸上9セッション14種目の決勝が見られる。9万円のチケットは体操の男女予選となっている。高付加価値型観戦チケットの割合は900万と見込まれる内、約1%となる見込み。

抽選分の当選発表は今月16日。購入期限は当選発表後、おおむね2日以内とした。抽選にならなかったチケットは先着順のまま販売され、完売まで売り出される。

組織委は前日、10日に実施予定だった五輪チケット2次抽選の発表会見も延期したばかりだった。【三須一紀】